2.『リバーズ・エッジ』(18) 監督:行定勲 118分
ヒット漫画の人気キャラクターを完璧な再現度で演じ切り、剣道有段者の腕前を見せつけた『銀魂』シリーズや、同じ福田雄一監督と組んだ実写版『斉木楠雄のΨ難』(17)でのこじらせキャラなど、大衆娯楽作への出演が続いていた吉沢。端正な顔立ちもあってか彼の出演映画は半分以上が漫画原作なのだが、『リバーズ・エッジ』は同じ“漫画原作モノ”にもかかわらず、強烈な異彩を放っている。
本作で彼が演じた高校生は、河原に捨てられた死体を愛するゲイのいじめられっ子。顔をボコボコに殴られたり、ズボンを脱がされたりと衝撃的なシーンを体当たりで演じつつ、およそ他の役者にはまねできない耽美かつ厭世的な存在感で、画面の主導権を掌握している。白眉といえるのは、「生きてるか死んでるかいつもわかんないけど、これ(死体)を見ると勇気が出るんだ」というセリフに象徴されるような、言語化できない感情を、リアルな“生”への渇望に変換してしまう表現力。観る者を否応無しに納得させてしまう吉沢の姿は、神々しささえ感じさせる。
メガホンをとった行定勲監督の実験精神が随所にみられ、出演者へのインタビュー映像が挿入されたり、「漫画のコマに近づける」ために画角をスタンダードサイズにしたりと、トリッキーなアプローチも愉しめる。
ちなみに、この時期のドラマ出演作では、『ぼくは麻理のなか』(17)では、女子高生の“中”に入ってしまう引きこもりの大学生、『GIVER 復讐の贈与者』(18)では、感情が欠落した復讐代行業者役に挑戦しており、一癖あるキャラクターもしっかりとモノにしてきた。
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