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『バットマン フォーエヴァー』よ永遠なれ【川原瑞丸のCINEMONOLOGUE Vol.46】

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色彩に目が眩むバットマン映画第三作目



 去る6月、ジョエル・シュマッカーが80歳で亡くなった。シュマッカーといえば、ぼくにとってはやはり3本目と4本目のバットマン映画の監督で、一連の作品群の中で異彩を放つ存在感を残したひとだと思う(とは言えバットマン映画はどれもそれぞれの個性を強く発揮しているのだが)。この連載ではこれまでバットマン映画についてはいろいろ語ってきたけれど、今回はそんなシュマッカー監督作『バットマン フォーエヴァー』を単体で考えていきたい。


 まず思い浮かぶのはその色彩である。その前作、ティム・バートンによる『バットマン リターンズ』の地の底に沈みそうなほど陰鬱な色彩から一変、立て続けに観たらコントラストに目がくらっとしそうなほど正反対の派手なネオンカラーが、本作の、そしてシュマッカー版ゴッサム・シティのトレードマークである。アントン・ファーストが手掛けたバートン版ゴッサムで見られた巨大な石像のイメージも引き継がれており、謎のスタチューが乱立する不気味な光景もまた魔都ゴッサムの特徴である。


 本作でバートンは製作にまわっているが、元々は『リターンズ』に引き続きバートンが監督する予定だったらしい。完成したものには前述の石像も含め、バートン版の名残はごくわずかである(テーマ曲も少し寄せているがやはり違う曲だ)。せいぜいが、マイケル・ガフが執事アルフレッド役、パット・ヒンケルがゴードン総監役として続投している程度。もとはと言えばガフはファンであるバートンからの要望で1作目に出演してそれが続いていたわけだが、結果的にアルフレッドやゴードンが前と同じひと、というのは前作とのほどよい繋がりのようにも思える。『リターンズ』と続けて観ると確かに別物なのだが、お馴染みのアルフレッドが一番最初に画面に現れて最初のセリフを発することで少し安心させてくれたりする。それだけガフのアルフレッドは不動のものであり、バートン版とシュマッカー版の全く違う世界観を繋ぐ大切な存在だ(言うまでもないが監督をまたいでのストーリーの連続性はない)。


 そんな様変わりしたゴッサムで今回暗躍する悪役は、ふたつの顔を持つ怪人トゥーフェイスと、頭脳でバットマンを追い詰めるリドラーである。『リターンズ』でペンギンとキャットウーマン(どちらかと言えばペンギンとマックス・シュレックだったが)が組んだのに続き、本作でもダブル悪役となっており、これ以降バットマン映画では1作につき複数の悪役が登場するのがお約束となっていく。



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