才能ひしめく日本映画界。演技力が高い俳優は数多いが、「雰囲気がある」俳優はそうはいない。さらに、両方を兼ね備えた逸材ともなれば、さらに希少。そうした側面から見て、成田凌の存在は唯一無二といえるのではないか。
1993年生まれの成田。菅田将暉、神木隆之介、福士蒼汰、竹内涼真、仲野太賀ら、“黄金世代”の一角を担っているが、映画デビューは2015年と、比較的活動歴は浅い。にもかかわらず、若手実力派として君臨しているのだから、恐れ入る。彼の急成長&人気ぶりを物語るエピソードといえよう。
2016年には、社会現象化したテレビドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』に出演し、知名度が上昇。2017年には、松坂桃李、菅田将暉、横浜流星、杉野遥亮と共に映画『キセキ あの日のソビト』に出演。音楽グループのムードメーカーを爽やかに演じており、歌唱力も披露している。
ファッション誌「MEN'S NON-NO」の専属モデル(清原翔と同期)を務めた経験を持ち、180センチ超えの高身長と、気だるげな空気感のギャップが、成田の大きな魅力。作品選びにおいては、その特性を生かした「隙がある」キャラクターを多く演じている。本人も、ラジオ番組の出演時に「出演作品では高確率でビンタされる」と語っていたそうで、「だらしないのに憎めない優男」というポジションは、彼の十八番といえるだろう。
年を重ねていくことで、役者としての味わいが増す――「表現力の“伸びしろ”」も楽しみな成田。そんな彼の出演映画を5本厳選し、年代別にご紹介する。
Index
- 1.『君の名は。』(16) 監督:新海誠 107分
- 2.『愛がなんだ』(19) 監督:今泉力哉 123分
- 3.『カツベン!』(19) 監督:周防正行 126分
- 4.『弥生、三月 君を愛した30年』(20) 監督:遊川和彦 109分
- 5.『窮鼠はチーズの夢を見る』(20) 監督:行定勲 130分
1.『君の名は。』(16) 監督:新海誠 107分
神木隆之介、上白石萌音、長澤まさみら俳優陣が参加した本作品に、成田はオーディションを経て出演。キャリア初期の段階で、早くも大役をつかんだ。
東京に住む男子高校生・瀧(神木)と、岐阜県の田舎町に暮らす女子高生・三葉(上白石)が入れ替わったことから、運命を揺るがす大事件へとなだれ込んでいくファンタジー。国内の歴代興行収入第4位となる、250億円超を記録した歴史的ヒット作だ。
成田が演じたのは、三葉の同級生・勅使河原(通称てっしー)。三葉のよき理解者であり、冷めた性格と少年らしい熱さが混じり合った人物だ。地元企業の社長の息子という境遇を疎んでおり、故郷にはドライな感情を抱いているが、有事の際には、町民を危機から救おうと奔走する勇敢さも併せ持つ。
勅使河原の坊主頭のビジュアルは成田と大きく異なるが、声を聴くぶんにはまったく違和感がない。というよりもむしろ「成田凌が演じている」とわからないレベル――演者の姿かたちが浮かんでこない領域にまでなりきっており、驚かされることだろう。
この役を演じるにあたっては方言もマスターしており、成田の非凡な演技力を存分に見せつけた1本。公開時は成田凌と気づかなかったという声も多く、今改めて観てみると、より楽しめるのではないだろうか。
なお、成田は新海監督の『天気の子』(19)でも、同役で出演している。
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