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映画監督、その未来は?『ミッドナイトスワン』内田英治監督が語る“日本映画界のリアル”【CINEMORE ACADEMY Vol.8】

映画監督、その未来は?『ミッドナイトスワン』内田英治監督が語る“日本映画界のリアル”【CINEMORE ACADEMY Vol.8】

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「僕はこれを伝えたいと思いました」――取材中、彼はそう口にした。


下衆の愛』(16)、Netflixオリジナルシリーズ『全裸監督』(19)で知られる内田英治監督から筆者に連絡が届いたのは、最新監督作『ミッドナイトスワン』(9月25日公開)のイベントで共演してから、ほどなくしてだった。日本映画の現状に対する危機感、そしていま始動を始めた新たな潮流について、もっと知ってほしい――。


現役の映画監督はリアルタイムで何を思い、活動を続けているのか。内田監督の中からあふれ出てきたのは、表現者としての忸怩たる思いと、“革命の狼煙”とでもいうべき力強い言葉たちだった。


なお今回のインタビューは、映画の作り方をクリエイターに学ぶプロジェクト「CINEMORE ACADEMY」として、お届けする。『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20)の藤井道人監督に続き、内田監督を“講師”に迎え、ものづくりの“リアル”に迫っていきたい。


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映画監督が自作の宣伝をすること



Q:今回は、お声がけいただきありがとうございます。監督自ら、映画界の問題点を話してくださる機会はなかなかないので、とても光栄です。


内田:こちらこそ、ありがとうございます。そうですよね、話しづらい話ですよね(苦笑)。日本にはまだまだ「映画監督は作品のことだけ考えてろ」っていう風潮がありますし。演出以外は考える必要がないという。でもそれは今までの話で、時代も変わりこれからは監督も様々なことを考えるべきだと思うのです。


Q:内田監督はご自身で「宣伝隊長」として、非常に精力的に広報活動をされていますよね。


内田:ついこの間も「頑張ってますねぇ」ってちょっと笑われましたが、こっちは誰よりも必死ですよ。


こういう映画のよくあるパターンとしては、「面白かったし頑張ったけど、まあヒットには結びつかなかったよね、チャンチャン…」なんです。もう何十年もそうで、「やっぱり有名人を20人ぐらい出して、ベストセラー小説の実写化をやるほうが金にはなるよね」ってなるのは悔しいですが、結局はその方向性が続くのかと…。なので自分でも宣伝をして、何とか軌道に乗せたいなと思っています。インディーズだから作ることに意義がある。お金じゃないんだ。という考え方から脱却しないといけないなと。


『ミッドナイトスワン』は、内容的によくゴーサインが出て、草彅剛さんというスターが出演してくれたな、と自分でも思います。だからこそ、後に続く作品のためにも、“前例”を打ち立てたい。




役者さんや芸人さんや作家さん、芸能のど真ん中にいる方々も応援してくれていますし、本作だけでなく藤井監督の『新聞記者』(19)とか、今泉力哉監督の『愛がなんだ』(19)とか、面白いインディペンデント系の作品に著名俳優が出演する流れが、日本でもようやく生まれつつありますよね。松坂桃李さんとか、『新聞記者』によく出たなと思いますもん。


山田孝之さんも役者であることへのこだわりがすごく強い。『全裸監督』への出演は山田さんの役者としての生き方がすごく反映されていますよね。本作の草彅さんも、『新聞記者』の松坂さんもそうだし、チャレンジする俳優が増えているのは嬉しいです。なので監督も頑張らないといけない。


Q:それこそ山田さんは『デイアンドナイト』(19)などでプロデュースも行われているし、小泉今日子さんや豊原功補さんのプロデュース作『ソワレ』(20)等々、俳優の監督作・プロデュース作も増えつつありますよね。


内田:流れが来ている感じがしますよね。海外では成功した俳優がプロデュースにまわり若手育成するのは普通のこと。あと、スターサンズの河村光庸さんだったり、意思決定を迅速にしてくれる中小規模の会社が増えてきているのも、大きいと思います。大手だとGOサインが出るまでに2年とか平気でかかって、その間に頓挫したり降ろされたりもありますからね。


諸外国と比べて、まだまだ僕たちは芸術文化的に遅れている。だからこそ、もっともっと声を上げていかないといけないし、多くの人たちに知ってもらいたい。



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