『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)
監督:ブラッド・バード 出演:トム・クルーズ
トム・クルーズが年齢を超越した危険なスタントに挑戦し続けているスパイアクション・シリーズの中でも、特にファッション性が高いと評判なのがシリーズ4作目の『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)。何しろ、衣装デザインを担当したマイケル・カプラン(『ファイト・クラブ』(99)『スタートレック』(09)など)によると、1シーンのためだけに、スーツが16着、シャツが24着、靴が20組用意され、それらに、ハードなスタントに耐えるためのハーネスやパッド、靴にはランニングやクライミング仕様の素材がプラスされたというのだ。凄過ぎる!
しかも、クルーズ演じるイーサン・ハントが、ドバイに降り立つ時に着ている光沢のあるブルーのスーツ(服好きの間で話題に)は、スリムなフィット感、高いアームホール、先細の腕と脚がクルーズの体型に完璧にマッチ。高級素材モヘアの風合いが画面から伝わって来そうだ。
(c)Photofest / Getty Images
また、イーサンが着るタキシードは一見黒に見えるが、よく目を凝らすとミッドナイトブルーであることが分かる、憎いカラーのチョイスだ。こちらはマイケル・カプランがデザインし、ジョルジョ・アルマーニが仕立て上げた逸品。ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドを演じる時に着用しているタキシードを意識したもので、カマーバンドとベストを排除したことで、現代的なイメージに仕上がっているのがポイントだ。
クルーズとアルマーニは『デイズ・オブ・サンダー』(90)以来の長い付き合いだ。ジェレミー・レナー演じるIMFの分析官、ブラントが着るステッチ付きライトグレーのスーツ、サイモン・ペッグ扮するチームの一員、ベンジーが着るダブルブレストのジャケットも、すべて映画のためのカスタムメイド。
カプランはデザインする上でオリジナルの1960年代を強く意識したとか。つまり、スパイのファッションはほぼすべて、このジャンルが花開いた時代へと回帰して行くのである。
文 : 清藤秀人(きよとう ひでと)
アパレル業界から映画ライターに転身。映画com、ぴあ、J.COMマガジン、Tokyo Walker、Yahoo!ニュース個人"清藤秀人のシネマジム"等に定期的にレビューを執筆。著書にファッションの知識を生かした「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」(近代映画社刊)等。現在、BS10 スターチャンネルの映画情報番組「映画をもっと。」で解説を担当。