スタジオライカ最新作『ミッシング・リンク』クリス・バトラー監督×八代健志監督リモート対談 ストップモーションの可能性を広げたい【Director's Interview Vol.91】
ストーリーにも風景にも、無限の広がりを
Q:『ミッシング・リンク』は主人公たちが世界各国を旅するので、シーン数がとても多いですよね。ストップモーションではシーンの数だけ美術セットを作らなければならず、とても大変な作業だと思います。ストーリーを考える時点では、そういった制約を念頭においているのでしょうか。
クリス:スタジオからは「制約は考えずにストーリーを書くように」といつも背中を押されています。僕とライカ代表のトラヴィス・ナイトは、「手法による制約を感じさせない作品」を作っていきたい。そういうところにストップモーションアニメーションを持っていきたいと常に考えています。なので、通常であれば(物理的に、またはスペースなどの理由で)ストップモーションでは語れない物語をあえて作っています。
しかし脚本家としてはそうでも、一方で僕は監督でもあるので、「これから450人のスタッフが4~5年大変な思いをするかもしれない…」という罪悪感が頭をよぎるときもあります(笑)。
八代:その気持ちわかります。僕もセットを作ったりお話を考えたり両方やっていますが、物理的な限界と相談しながら、でもお話を作る時点では、そういう制約は考えないようにしなきゃといつも葛藤しています。
クリス:そうですよね。監督というのは制作の過程すべてを理解していなければいけないので、そういった葛藤が脳裏から消えることはないですよね。
難しいカット、ロケーション、シーン、などなど、果たしてできるかどうか、やるべきかどうかと自問してしまう時もありますが、大抵はそのまま進めています。一緒に仕事しているスタッフたちを信頼して、彼らと一緒に、いつもなんとか方法を見つけながら作っています。
例えば『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』では海のシーンでかなり大掛かりな水の表現をしましたが、その経験を生かしつつ、今回はもっとこういうこともできると、新しいロケーションにチャレンジしています。
八代:素晴らしかったと思います。
クリス:でもね、僕自身がセットを作っていたら、もっとセットを小さくするかもしれないですね(笑)。
八代:あはは!(一同笑)