スタジオライカ最新作『ミッシング・リンク』クリス・バトラー監督×八代健志監督リモート対談 ストップモーションの可能性を広げたい【Director's Interview Vol.91】
前作『KUBO/二本の弦の秘密』(16)から4年。創業から15年に渡り、ストップモーションアニメーションの第一線を走り続けるスタジオ、ライカの最新作『ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒』がついに2020年11月13日(金)、全国公開される。
公開に先駆け、今作の監督・脚本を務めたクリス・バトラー氏と、各国の映画祭で数々の賞を獲得したストップモーション短編アニメーション作品『ごん-GON,THE LITTLE FOX-』(19)の監督・八代健志氏とのリモート対談を実施。
お互いの作品の根底にある、ストップモーションへの熱い想いを語ってもらった。
Index
- 『ごん』に感じるシンパシー
- ストーリーにも風景にも、無限の広がりを
- ストーリーを語るために、全ての手法を使う
- 実物の美術と光がおりなす「不完全さ」
- 作品の核は、ビックフットと人間の心の交流
- 現代的なメッセージと映画体験の入り口
- 異国情緒あふれる冒険の旅へ!
『ごん』に感じるシンパシー
八代:まずは『ミッシング・リンク』の日本公開おめでとうございます。僕らストップモーションをやっている人間は、ライカが新作を出すといろんな期待を込めて見てしまいますが、僕らの想像を超える、期待通りの素晴らしい作品でした。
ライカの作品は「現実にないものをいかに作り出すか」というアニメーションの命題に、すごくまっすぐに向かっていますよね。アニメーションの一つの方向性の、その最先端の表現としてさらに一歩進化している、と感じました。
クリス:僕も八代監督の『ごん-GON,THE LITTLE FOX-』(以下『ごん』)を拝見しました。正直にいうと、心折られましたよ。ズタズタです(笑)。本当に心からこの作品が好きですし、傑出した作品だと思います。
アートディレクションや全体の色味も素晴らしかったし、人形の荒く削られたようなタッチも、前作『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』で僕たちが参考にしたものを思い出すものがありました。
また、何より撮影が素晴らしい。構図がとてもエレガントで映画的だと思いました。ストップモーションの撮影は必ず屋内スタジオで撮るので、どうしても閉鎖的な、スペースの限界を感じさせるようなカメラワークになってしまうことがありますが、それを全く感じません。美しい野山の風景がどこまでも続いて行くようでした。こんなにゴージャスな作品はしばらく見ていなかったです。
八代:本当に嬉しいです。