新しい世界で人生を変える
Q:お互いにいたわりあっている仲睦まじい老夫婦と思いきや、映画が進むにつれて妻の夫に対する積年の恨みが徐々に表出してきます。妻がどんどんアクティブになっていく様子も今の時代性を感じました。その辺りに込めたメッセージはあったのでしょうか。
ルーマン:二人は新しい世界にやってきたので、チャンスを得る機会がある。特にラヤは、以前の自分にはなかったようなチャンスに恵まれて、それを掴もうとする。自分に勇気があれば、その新しい世界の中で人生を変えるきっかけになる。そういうものを描きたかったんだよ。
Q:夫は結構食いしん坊ですよね。そして妻はそれをちょっと嫌がっている。この辺はコミカルで面白かったです。
ルーマン:キャラクターのアイデアは、実在している人を参考にしたんだ。記憶にあるちょっとしたものを、ミックスして作り上げたんだよ。僕も甘いものが好きだから、そこは僕に似たのかもしれないね。
Q:90年代に多くのユダヤ人がソ連からイスラエルに移住したことは全く知りませんでした。この時代を舞台に選んだ理由を教えてください。
ルーマン:90年代、僕も親と一緒に移民を経験したんだ。当時はソ連が崩壊して、国や社会が全く変わってしまうことになった。それまでは移民なんて考えたこともなかったけど、もしかしたら他の国にいい人生があるかもしれないと、移住を決めた人がたくさんいた。この映画の舞台となったイスラエルも、人によっては聞いたことがない未知の国だったけど、それでも行く決意をした人はたくさんいたんだよ。
これは僕のパーソナルな話でもあるし、ドラマやコメディとしてもすごくいいテーマだと思ったから、この時代と移民の物語を選んだんだ。