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『水を抱く女』愛は壊れる。CGは古びる。クリスティアン・ペッツォルト監督の作劇術【Director's Interview Vol.111】

(c)SCHRAMM FILM/LES FILMS DU LOSANGE/ZDF/ARTE/ARTE France Cinéma 2020

『水を抱く女』愛は壊れる。CGは古びる。クリスティアン・ペッツォルト監督の作劇術【Director's Interview Vol.111】

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「触れられる」映画作りを早く再開したい



Q:「歴史」に加えて、ペッツォルト監督の作品には、「愛」という共通のテーマもありますよね。『水を抱く女』でも、愛の強さや弱さ、あるいは不条理さ……。様々な面が描かれていました。


ペッツォルト:「愛」は「ロミオとジュリエット」のように、どんな逆境にも打ち勝つものとして捉えがちですが、私はそうじゃないと思っています。むしろ、社会的な状況や力関係によって壊されるものだと考えていますね。


私自身は、常々「愛を様々な文脈の中で描きたい」と思っています。旧東ドイツであったり、ナチスの時代であったり、あるいは逃亡している人々の話であったり……。それを今回は、「水の精ウンディーネ」という神話の中でやってみた、という感じですね。



『水を抱く女』(c)SCHRAMM FILM/LES FILMS DU LOSANGE/ZDF/ARTE/ARTE France Cinéma 2020


Q:本作を皮切りに、“精霊三部作”が始まると伺いました。とても楽しみにしています。


ペッツォルト:ありがとう! コロナ禍が終わって、自由に撮影できる日を願っています。マスクがある状態だと、キスシーンもできないですしね。私たちが再び自然や文化、そしてお互いに「触れられる」ような作品作りを、一刻も早くしたいものです。



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監督・脚本:クリスティアン・ペッツォルト

1960年9月14日ドイツ、ヒルデン生まれ。ベルリン自由大学でドイツ哲学と演劇を学び、その後ドイツ映画テレビアカデミー(DFFB)で映画製作を学びながら助監督を務め、卒業後にいくつかのTV映画を監督した。2000年に「治安」(未)でデビューし、ドイツ映画賞最優秀賞を受賞する。2003年「WOLFSBURG」(未)でベルリン国際映画祭批評家連盟賞などを受賞、続く「幻影」(05/未)ではベルリン国際映画祭コンペティション部門に出品、ドイツ映画批評家賞を受賞、「イェラ」(07/未)では主演のニーナ・ホスにベルリン国際映画祭銀熊賞(女優賞)をもたらした。『東ベルリンから来た女』(12)ではベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞し、『あの日のように抱きしめて』(14) はサンセバスチャン映画祭批評家連盟賞をはじめとする多数の賞に輝いている。『未来を乗り換えた男』では、ベルリン国際映画祭コンペティション部門出品、トルコ・ドイツ映画祭最優秀賞を受賞した。近年はテレビドラマの脚本、監督を手掛けるなど活躍の幅を広げている。 



取材・文:SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema




『水を抱く女』

3月26日(金)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開

配給:彩プロ

(c)SCHRAMM FILM/LES FILMS DU LOSANGE/ZDF/ARTE/ARTE France Cinéma 2020


※3月27日(土)新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺にてクリスティアン・ペッツォルト監督のオンライントークショー開催決定。(ともに18:50回の本編上映後実施)

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