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『返校 言葉が消えた日』ジョン・スー監督 台湾史の暗部、白色テロ時代を描いたゲームを映画化する【Director’s Interview Vol.128】

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『返校 言葉が消えた日』ジョン・スー監督 台湾史の暗部、白色テロ時代を描いたゲームを映画化する【Director’s Interview Vol.128】

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名作映画への敬意、観客の反応



Q:白色テロを扱った作品には、『牯嶺街少年殺人事件』(91)や『悲情城市』(89)『スーパーシチズン 超級大国民』(95)などの名作があります。この映画を手がける上で、これらの作品はどのように意識されましたか。直接的なインスピレーションを得たところもあるのでしょうか?


スー:この映画で参考にしたのは、まさに、いま挙げていただいた3本が中心です。台湾でも名作中の名作として称えられていますし、私たちも実際に何度も観て――もちろん、これらの作品に肩を並べるとは口が裂けても言えませんが――なんとか、自分たちの映画に繋がるヒントを見出せないかと考えました。


しかしながら、『牯嶺街少年殺人事件』や『悲情城市』『超級大国民』は、どれも20~30年前に作られた映画ですので、どうしても今の若者たちにはとっつきにくい点があります。そこで『返校 言葉が消えた日』では、若者に白色テロの時代を知ってもらいたいと思いました。この作品で興味を持ってもらえれば、資料を探す中で、これらの名作映画にも出会えるのではないかと期待しています。



『返校 言葉が消えた日』© 1 Production Film Co. ALL RIGHTS RESERVED.


Q:実際に、若い観客層からの反応はいかがでしたか?


スー:予想以上に大きな反応がありましたね。10代の観客が共感できるように、と考えながら作りましたが、まさかこれほど大きな反響になるとは思わなかったんです。15~16歳くらいの観客からもメッセージをもらえて、本当にうれしく思います。若い層だけでなく、本当に幅広い層から反応があったんですよ。


Q:ちなみに、白色テロ当時を知る高年齢層のリアクションはいかがでしたか?


スー:映画の上映後、観客を交えた座談会をしたことがありまして、年配の方からは「この映画を通して、昔を再び振り返ることができた」という声をいただきました。やはり当時から数十年が経っているので、当時の恐ろしい体験、あるいは日常生活などが、だんだん曖昧になってきている方もいらっしゃいます。この映画を観たことで当時の体験が再び鮮明に蘇り、記憶の整理ができたという話をお聞きしました。



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