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『返校 言葉が消えた日』ジョン・スー監督 台湾史の暗部、白色テロ時代を描いたゲームを映画化する【Director’s Interview Vol.128】

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『返校 言葉が消えた日』ジョン・スー監督 台湾史の暗部、白色テロ時代を描いたゲームを映画化する【Director’s Interview Vol.128】

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コメディからホラーへの転身、次回作の構想



Q:過去作品を拝見して驚きましたが、これまでの監督は、主に短編のコメディ映画を作られてきています。シリアスなホラー映画、政治映画である『返校 言葉が消えた日』は異色作ですよね。コメディの経験は本作にどう活きたのでしょうか?


『阿爸的天氣預報』Weather Report Of The End


スー:本当に、これまでの作風とはまったく異なる映画になりました。私自身はコメディタッチにすっかり慣れていたので、正直に言うと、今回は自分のすべてを出せないというもどかしさもありましたね。なので、経験が活きるのは次回作になると思います。今、コメディとホラーを融合した作品を準備しているんですよ。


Q:楽しみです。どんな作品になるのでしょうか?


スー:「お化けは知っている」という仮のタイトルを付けているんですが、お化けの社内政治というか、お化けの会社もいろいろあるんだぞ、という話になります。まだ脚本を書いているところですが、2021年内に撮影を始める予定で、なんとか来年(2022年)にも上映したいと考えています。


現在インターネットで公開されている映像はコンセプトムービーで、単独で完結するショートムービーとして作りました。こういう設定は受けるのかどうか、インターネットのユーザーからもらった反応を脚本に活かすために作ったものです。


『鬼才之道』Dead Talents Society コンセプトムービー


Q:日本には「返校 -Detention-」ファンも多いですが、観客の中には、きっと本作で初めて台湾の歴史に触れる人も少なくないと思います。最後に、日本のファンや観客へのメッセージをいただけますか。


スー:『返校 言葉が消えた日』は台湾の歴史を背景としていますが、実は台湾の若者も、この史実を詳しく知っているわけではありません。そこで台湾と同じように、海外のみなさんも、サイコホラー映画という形で、ややカジュアルに歴史に触れていただければうれしいです。ゲームのファンの方はもちろん、YouTubeのプレイ動画で知った方も、ぜひ映画を観ていただき、改めて歴史に触れてほしいですね。



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監督:ジョン・スー

世新大学ラジオ・テレビ・映画総合学科の大学院を卒業したジョン・スーは、2005年のテレビ映画デビュー作「Real Online」で、台湾最大のテレビ賞である金鐘奨の最優秀監督賞を最年少で受賞。過去の短編作品は、ロッテルダム国際映画祭に出品されている。また、台湾最大のマシニマ制作グループであるAFK PL@YERSの創設者の一人でもある。VR短編作品「Your Spiritual Temple Sucks」は、サンダンス映画祭、World VR Forum, 富川国際ファンタスティック映画祭、シドニー映画祭、ヌーシャテル国際ファンタスティック映画祭など40以上の映画祭に出品された。長編映画デビュー作である『返校 言葉が消えた日』は、国際的に評価の高い台湾インディーゲームの映画化であり、2019年に台湾で公開され、台湾映画興行収入No.1となった。また金馬奨で12部門にノミネートされ、最優秀新人監督賞、最優秀脚色賞、最優秀視覚効果賞を含む最多5部門を受賞している。スーは自身初のインタラクティブVRプロジェクト「The Great Hoax」を進めており、この作品は2019年ベネチア国際映画祭のVR Gap Financing Marketにも選出されている。



取材・文:稲垣貴俊

ライター/編集/ドラマトゥルク。映画・ドラマ・コミック・演劇・美術など領域を横断して執筆活動を展開。映画『TENET テネット』『ジョーカー』など劇場用プログラム寄稿、ウェブメディア編集、展覧会図録編集、ラジオ出演ほか。主な舞台作品に、PARCOプロデュース『藪原検校』トライストーン・エンタテイメント『少女仮面』ドラマトゥルク、木ノ下歌舞伎『東海道四谷怪談―通し上演―』『三人吉三』『勧進帳』補綴助手、KUNIO『グリークス』文芸。



『返校 言葉が消えた日』

7/30(金)TOHOシネマズシャンテ他 全国ロードショー

配給:ツイン 宣伝プロデュース:ブレイントラスト

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