1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『サマーフィルムにのって』監督:松本壮史 × 脚本:三浦直之 魅力あふれるキャラクターたちは大喜利から生まれた!【Director’s Interview Vol.131】
『サマーフィルムにのって』監督:松本壮史 × 脚本:三浦直之 魅力あふれるキャラクターたちは大喜利から生まれた!【Director’s Interview Vol.131】

『サマーフィルムにのって』監督:松本壮史 × 脚本:三浦直之 魅力あふれるキャラクターたちは大喜利から生まれた!【Director’s Interview Vol.131】

PAGES


手を抜かないディテール



Q:SFの部分については、設定もディテールも結構緩めで面白かったのですが、その辺りの狙いについて教えてください。


松本:SFだけハードになると全体のバランスが崩れるので、時代劇や映画作りなどと同じ要素の一つとして、配分する必要がありました。とは言え、最低限のSFマナーや設定は考えましたね。


三浦:凛太郎(金子大地)が未来から来たという設定は、絶対予告編で使われるだろうから、そこを秘密にして引っ張ってもあんまり意味がないと、松本さんが最初の段階から言っていたんです。それで、映画の早い段階でそこは分かるようにしました。


Q:ビート板がハインラインを読んでいたり、『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』のタイムパラドックスのオマージュ、『椿三十郎』『座頭市』の剣の構え、などなど、ディテールの細かさも楽しかったです。やはりその辺はお二人ともお好きなのでしょうか。


松本:ディテールが好きというよりも、そういう細部に手を抜くと、映画自体のクォリティがすごく下がるなと思ったんです。


三浦:自分以上にそのジャンルを愛している人たちはいるから、そういう人たちに対して嫌な思いはさせたくない。


Q:そのジャンルが好きな人が観ても、見透かされないレベルまで到達していて、相当詰められているんじゃないかと思いました。


松本:それはけっこう話しましたね。ジャンルとしての最低限のマナーは抑えました。



『サマーフィルムにのって』© 2021「サマーフィルムにのって」製作委員会


Q:キャラクターや内容も含めて、今までこういった世界観のお話はアニメで作られることが多かったような気がします。タイトルやフォントの雰囲気も、いい意味でどこかアニメっぽさを感じました。言い換えると、これまでは実写で成立させるのは難しい部分があったのではないかと思いますが、それが今回は見事に実写で成功しています。その秘訣はなんだったのでしょうか?

 

松本:アニメっぽいというのはよく言われますね。


三浦:僕はアニメがすごく好きなんです。だからかもしれませんが、言葉遣いやセリフ回しは、いわゆる口語っぽい言葉よりも虚構的というか、アニメっぽくなっているかもしれません。また、映画全体のコミカルな部分も、アニメっぽく感じる要素になっているのかもしれませんね。


でも一方で、大林宣彦監督や相米慎二監督たちが作っていた頃の角川映画もすごく好きなので、ああいう空気感みたいなものは入れたいなと思っていました。だから書いている時は、アニメっぽさというよりも、どちらかというとそういった昔の青春映画をイメージしていましたね。


Q:なるほど、お話を伺っていて納得する部分は多いです。私自身、この映画に本当に魅了されてしまいましたし、老若男女、映画好きを問わず、愛される映画になっているのではないかと思います。昨年の東京国際映画祭では実際に上映されましたが、お客さんの反応はどうでしたか?


松本:お客さんの熱量がすごく高くて、反応はとても良かったですね。ただ、去年はコロナの影響があり、上映して挨拶して終わりだったので、別の監督と話したりとかは出来ませんでした。だから映画祭に出した感じがあまりないんです。そこだけちょっぴり残念でした。


Q:その熱い反応は、公開後も同じように出てくると思います。ぜひ多くの方に観ていただきたいですよね。今日はどうもありがとうございました。


松本・三浦:どうもありがとうございました。



『サマーフィルムにのって』を今すぐ予約する↓






監督・脚本:松本壮史

1988 年生まれ、埼玉県出身。CM、映画、ドラマなど映像の監督。主な作品に、北欧、暮らしの道具店オリジナルドラマ「青葉家のテーブル」やドラマ「お耳に合いましたら。」(テレビ東京)等。監督作「江本祐介/ライトブルー」(MV) が第 21 回 文化庁メディア芸術祭 エンターテインメント部門審査委員会推薦作品に選出。長編デビュー作「サマーフィルムにのって」は第33回東京国際映画祭 特別招待作品に選出され、多くの映画ファンからの注目を浴びた。今年は長編二作目の映画「青葉家のテーブル」も公開。





脚本:三浦直之

1987年生まれ、宮城県出身。2009年、日本大学藝術学部演劇学科劇作コース在学中に、処女作 『家族のこと、その他たくさんのこと』が王子小劇場「筆に覚えあり戯曲募集」に史上初入選。 同年、主宰としてロロを立ち上げ、全作品の脚本・演出を担当する。2015年より、高校生に捧げる「いつ高シリーズ」を始動し、戯曲の無料公開、高校生以下観劇・戯曲使用 無料など、高校演劇の活性化を目指す。そのほか脚本提供、歌詞提供、ワークショップ講師など、演劇の枠にとらわれず幅広く活動中。2016年『ハンサムな大悟』第60回岸田國士戯曲賞最終候補作品ノミネート。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『サマーフィルムにのって』

8月6日(金)より、新宿武蔵野館、渋谷ホワイトシネクイントほか全国公開中

配給:ハピネットファントム・スタジオ

© 2021「サマーフィルムにのって」製作委員会

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『サマーフィルムにのって』監督:松本壮史 × 脚本:三浦直之 魅力あふれるキャラクターたちは大喜利から生まれた!【Director’s Interview Vol.131】