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『トキワ荘の青春』伝説のアパートを舞台に描く若き漫画家たちの光と影(前編・企画編)

©1995/2020 Culture Entertainment Co., Ltd 

『トキワ荘の青春』伝説のアパートを舞台に描く若き漫画家たちの光と影(前編・企画編)

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 トキワ荘が復元された。昭和20年代末から昭和30年代の半ばにかけて、手塚治虫に始まり、寺田ヒロオ、藤子・F・不二雄、藤子不二雄A、赤塚不二夫、石ノ森章太郎ら錚々たる漫画家たちが若き日に暮らした東京都豊島区椎名町五丁目(当時)にあったアパートを、「豊島区立トキワ荘マンガミュージアム」として再建したのである。


 とはいえ、何の変哲もない安ぶしんのモルタルアパートを、実際に建っていた場所の近くに復元するというのは、なかなか倒錯的な試みではある。昭和中期に各地で観光の呼び物にするために建てられた復興天守や、模擬天守みたいな感じもするが、後に著名となる漫画家たちが若き日の無名時代に同じ屋根の下で暮らしたという実話には、時代を超えた普遍的な魅力がある。また、〈トキワ荘〉という名称自体が一般にも広く浸透するようになったからこそ、こうした復元が実現したのだろう。


 このトキワ荘マンガミュージアムの開館に続いて、市川準監督の『トキワ荘の青春』(96)がデジタルリマスター版で25年ぶりにリバイバル上映された(2021年2月当時)。漫画、アニメーション、ドキュメンタリー、テレビドラマなどにも登場してきたトキワ荘が今のところ劇映画に唯一登場したのがこの作品である。



 本記事では約22,000字の記事を、前編(企画編)と後編(撮影編)の2回に分けて掲載。映画の話に入る前に、まずは〈トキワ荘神話〉の始まりから、ひもといてみよう。


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