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『CHERRY AND VIRGIN』川尻将由監督×佐藤現プロデューサー アニメのA24を目指す!【Director’s Interview Vol.129】

向かって左:佐藤現プロデューサー、右:川尻将由監督

『CHERRY AND VIRGIN』川尻将由監督×佐藤現プロデューサー アニメのA24を目指す!【Director’s Interview Vol.129】

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第40回ぴあフィルムフェスティバル準グランプリ、第23回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞を受賞した、川尻将由監督の『ある日本の絵描き少年』。実写をベースにアニメーションに起こしていく「ロトスコープ」という手法で作られた本作を経て、川尻監督が長編商業映画デビューを飾る。


2022年初夏の完成を目指し、現在絶賛制作中の本作のタイトルは『CHERRY AND VIRGIN』。商業エロ漫画家の男性と、趣味でBL漫画を描いている腐女子のラブストーリーだ。『ある日本の絵描き少年』と同じく、漫画・実写・アニメが入り乱れる表現で制作される模様。昨今の国内のアニメ映画の文脈において、異質な作品になりそうだ。



『CHERRY AND VIRGIN』©2022東映ビデオ


そんな斬新企画の仕掛人が、佐藤現プロデューサー。『ふがいない僕は空を見た』(12)、『百円の恋』(14)、『14の夜』(16)、『犬猿』(18)、『アンダードッグ』(20)など、既成の概念にとらわれない意欲作を次々と手掛けてきた人物。本作ではクラウドファンディングで宣伝費用を募るなど、精力的に活動中だ。


商業アニメ映画の大海原に漕ぎ出そうとしているふたりはいま、何をなそうとしているのか。『マグノリア』(99)から『アンダー・ザ・シルバーレイク』(18)まで幅広く鑑賞している川尻監督の映画談義もあわせて、作家性を紐解きつつ、彼らの挑戦を紹介する。


Index


小6で『マグノリア』にハマった



Q:川尻監督はフェイバリットに『マグノリア』を挙げられていましたが、何歳くらいのタイミングでご覧になったのでしょう。


川尻:小学校6年生くらいですね。


Q:早い!


川尻:ただ、背伸びをして観ていた感覚はないんですよ。初めて「大人の映画だ」と思ったのは、『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(97)ですね。僕の両親は離婚をしていまして、年に1回ぐらい父親が遊びに来て、映画を観に行っていました。そのときは『エイリアン4』(97)を観に行って、まだ時間があったので観ました。観返すとめちゃくちゃ名作ですが、そのときはまだ「背伸びをして観るもの」という感覚があったかもしれません。


でも、映画ってそういうところがありますよね。それとは逆に『マーズ・アタック!』(96)みたいな映画もちゃんと観なきゃなと思ったり(笑)。『マグノリア』に関しては、予告がすごく面白そうだったんですよね。小学生時点でのオールタイムベストは『マグノリア』でした。


『マグノリア』予告


Q:小学生の頃から、数多くの映画をご覧になっていたのですね。


川尻:鹿児島県の鹿屋市という田舎で育って、運動神経が良くなかったから絵を描くかビデオを借りるかしか楽しみがなかったんです。映画って人生と結びつけて考えられるし、母親と一緒にレンタルビデオを観て、「これはこういうことなんだよ」と話したりしていましたね。以前、大竹しのぶさんのラジオ『大竹しのぶのオールナイトニッポンGOLD』に明石家さんまさんが出演された際、「映画『ローズ家の戦争』(89)を観て離婚を決意した」と語っていたのですが、ウチもちょっと近い思い出があって。離婚した後に母親と『ローズ家の戦争』を観たんですが、その時に母が「こんなことにならないためにお母さんたちは離婚したんだよ」って……(笑)。


佐藤:(笑)。


川尻:映画と人生って直結しているところがありますよね。それがイコールいい映画という感覚もありますし。あとは、兄貴がアーノルド・シュワルツェネッガーとジャッキー・チェンの映画をダビングして持っていたので、アクション系は兄貴から教わりました。


Q:川尻監督の『ある日本の絵描き少年』は、キャラクターの名前を『キッズ・リターン』(96)からもらっていますよね。日本映画にも造詣が深いんだなと思って……。


川尻:いえいえ(笑)。作品のテーマは「子どもに戻る話だな」→「『キッズ・リターン』だな」→「じゃあマサルとシンジにしよう」という、ただの連想ゲームです(笑)。もちろん北野武監督の作品の中では『キッズ・リターン』が一番好きですが。




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