向かって左:佐藤現プロデューサー、右:川尻将由監督
『CHERRY AND VIRGIN』川尻将由監督×佐藤現プロデューサー アニメのA24を目指す!【Director’s Interview Vol.129】
原恵一監督の作品に出会い、アニメの道へ
Q:アニメに興味を持ったのは、原恵一監督の影響だそうですね。
川尻:アニオタの間では『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』(01)が当時相当話題になっていました。僕にはその後の『河童のクゥと夏休み』(07)が大きかったです。『E.T.』的な物語の中に、主人公の裏切り行為といいますか「もう純粋でいられない」という描写をアニメでやったことに、すごく心惹かれたんですよね。アニメって実写と比べてまだまだやれていないことが多いんじゃないかと感じて、アニメの道に進もうと思い立ちました。
Q:その後、大阪芸術大学映像学科アニメーションコースに進まれます。現場ではなく、大学で学ぼうと思った理由はなぜでしょう?
川尻:もちろん、出身者にガイナックスの方々がいたり、山下敦弘監督がいたということもあるのですが、東京芸大や日芸と比べて、偏差値が低いんですよ(笑)。個人推薦なんて、絵コンテを1枚描くだけだから誰でも受かる……。
佐藤:そんなことないでしょう(笑)。倍率は高いよね。
川尻:いやー(笑)。課題を途中で諦めちゃうことがなければ、受かると思います(笑)。
とりあえず大学には行けと言われていたから、じゃあアニメもやりたいしここしかない、という感覚でしたね。
向かって左:佐藤現プロデューサー、右:川尻将由監督『CHERRY AND VIRGIN』
Q:とはいえ、25歳でアニメ『ステラ女学院高等科C3部』(13)の監督を経験されます。非常に順調にキャリアを積まれたように見えますが……。
川尻:社風というか、ガイナックスはその前の作品でも30歳前の若手を抜てきしていて、現場では上層部の酔狂だって話もありましたが、まぁ山賀博之さんなど創業からのメンバーは、自分たちも20代で監督をやってきたからっていうのもあったんだと思います。(笑) ただ、選ばれたはいいものの本当に何もできなくて、会議でもめちゃくちゃプレッシャーをかけられて……。
Q:「毎日吐いていた」と当時を振り返る記事を読みました。
川尻:単純に、僕が力不足でしたね。せっかくのチャンスをフイにしてきたというのが、自分の20代の印象です。