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「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」オダギリジョー監督 脚本と編集の魅力、辛い現場、賛否分かれるものづくり【Director’s Interview Vol.142】

「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」オダギリジョー監督 脚本と編集の魅力、辛い現場、賛否分かれるものづくり【Director’s Interview Vol.142】

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サポートしてくれたスタッフたち



Q:『ある船頭の話』の時は監督に専念されましたが、今回は出演も兼ねています。現場はかなり大変だったのではないでしょうか。


オダギリ:いやもう、これ以上大変なことは無いくらい、本当に大変でしたね。出演から監督まで、他の細かいことも含めて、やれることは全てやりました。もう後は、カメラを回すくらいしか残ってないかもしれない(笑)。なのでまぁ、今回はやり切った感はありますね。よくここまで僕を信じてくれたなと、改めて今回の3人のプロデューサーに感謝しています。


Q:カメラの話が出ましたが、撮影は池田直矢さんで映画畑の方です。ドラマでは、壁掛けの能面の飾りに映った体が重なったり、昇るエレベーターをジャンプカットで捉えたりと、アングルやカメラワークも凝っていましたが、池田さんとは撮影についてどのような話をされたのでしょうか。


オダギリ:実は、元々は前回同様、クリストファー・ドイルが決まっていたんです。クリスもこの脚本を気に入って、ノリノリで準備をしてくれていたのですが、コロナの状況で入国が叶わず…。そんな時に手をあげてくれたのが池田さんでした。池田さんは今の日本映画界で引っ張りだこの方なんです。初めてのコラボレーションになりましたが、僕のやりたいことをすごく丁寧に探ってくれて、僕のイメージを出来る限り忠実に構築してくれました。もっと池田さんに任せれば良かったかな…とも思いますが、やっぱり僕が脚本を書いてるから僕のイメージを優先してくれるんですよね。


でもそれは、『ある船頭の話』のカメラマン、クリストファー・ドイルも同じだったんです。池田さんと同じように、僕がやりたいことを完璧にサポートしてくれました。僕が監督として未熟だからこそ、撮影監督がサポートに徹してくれてすごくやりやすかったです。


でも、もしまた池田さんとやることがあれば、次はもう少し2人でギリギリなところで遊んでみたいですね。今回はどちらかと言うと硬くてカッコイイ画作りを目指しましたが、もっと破綻した、固定概念を壊すような画作りに挑戦したいですね。



『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』Copyright NHK (Japan Broadcasting Corporation). All rights reserved.


Q:照明を担当した宗賢次郎さんも、前作『ある船頭の話』に参加されています。スタッフィングのポイントは?


オダギリ:宗さんはまず第一にノリが良くて、みんなから愛される人柄なんですよ(笑)。野球部のキャプテンだったから(笑)、皆をうまく引っ張ってくれるし、何より照明を作るのが早い。宗さんもまた、今の日本映画で引っ張りだこの方ですね。今回の撮影はドラマということで、きっと時間に追われるだろうから、スピード感を持って現場を引っ張ってもらいたかった。それで宗さんにお願いしました。池田さんと宗さんは、多分今回初めての組み合わせですが、お互いリスペクトしながらうまく関係を作ってくれていたと思います。


Q:やはりドラマの現場はスケジュールがタイトなんですね。 それでも美術や衣装など、ディテールがとにかく凝っていて、且つシーンやカット数も多い。現場は時間との闘いもあって大変だったのではないでしょうか?

 

オダギリ:そうですね。時間はあればあるほどこだわりたいし、いくらあっても足りません。ただ何故かテレビは、映画ほど現場に時間を割かないんですよ。週一回放送しなければならない焦燥感と言いますか、時間に追われた焦りみたいなものがそのまま現場にも漂っている。池田さんや宗さん始め多くのスタッフは映画の人だったから、その時間に対する感覚にはストレスを抱えていたと思います。僕も今回の現場で唯一気を揉んだのは、この部分でした。スケジュール通りに進んでいるかどうか…ばっかりを気にして、クリエイティブな意識が足らないんじゃないかと、一度だけ苦言を呈した事がありました(苦笑)。





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