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「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」オダギリジョー監督 脚本と編集の魅力、辛い現場、賛否分かれるものづくり【Director’s Interview Vol.142】

「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」オダギリジョー監督 脚本と編集の魅力、辛い現場、賛否分かれるものづくり【Director’s Interview Vol.142】

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作品は賛否分かれた方が良い



Q:こうやってご自身で監督や脚本を手掛けられるようになって、発信するテーマやメッセージ自体をゼロから考える必要が出てきたと思いますが、その辺に対する思いをきかせてください。  


オダギリ:その辺りは改めて難しいなぁと感じています。と言うのも、やりたい事や伝えたいことを前に出しすぎると、押し付けがましく、説明くさい作品になってしまうでしょうし、さりげなく控え目にしておくと、わかりにくいとか、何が言いたいか分からないと思われてしまう。そのバランスはとても難しいと感じています。ただ、いつも思うのは、受け取る方の自由を尊重したいということです。


観ていただく方は、それぞれに違う感受性を持ち、それぞれに置かれた環境も価値観も違うわけじゃないですか。それぞれが違う感想を持って当たり前だし、むしろそんな作品が望ましいと考えています。僕自身、そう言う作品が好きなんです。数年経って見直すと全く違った感想を持つような、自分の状況によって受け取り方が変わる作品が好きなんです。だから、ハッキリさせ過ぎない事と、簡単に答えに導かないように心がけています。


先日、「オリバーな犬」に対する批判的な記事を目にしたんですが、自分がやろうとしている事と、その記者が求めている事にこんなにも差があるんだと思わず笑ってしまいました。でもそうやって、こっちの思う通りに受け取ってくれない場合だってあるって事なんです。物作りにはそうした賛否が付きまとうものだし、それが健全な社会だと思っています。


「オリバーな犬」を観て、面白いと思っても、つまらないと思っても、どちらも正解なんです。他者の意見に流されず、自分が感じた感覚を信じてあげる事が大切なのではないでしょうか。



『オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ』オダギリジョー監督


Q:お話を伺っていると、監督業をすごく楽しんでいる印象を受けましたが、今後も続けて行かれますか?


オダギリ:監督って、本当に辛い作業なんですよ。脚本と編集が好きだといいましたが、逆に撮影現場はすごく苦しいんです。自分が書いた脚本を、納得できる映像にする為に日々もがいています。心配や不安、プレッシャーだらけで、楽しいなんて感じた事がないくらいです。ご飯も食べれなくなるし、一日中トイレに行く事さえ忘れています。もはや修行に近いような感覚なので、続けたいですとは簡単には言えないし、そこまでの自信もないんです。


どんな内容でも面白い作品にできる!というタイプの監督にはなれないので、作りたいもの、作るべきものが見つかったら、また修行に出る覚悟で(苦笑)…本を書き始めるのかもしれませんね。





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