脚本と編集を自らやる意義
Q:映画『ある船頭の話』に続いて、今回もオダギリさんが編集を担当されています。スプリットスクリーン(分割画面)がすごく効いていたり、エレベーターのジャンプカットや、永山瑛太さんが車内にいるカットの効果など、編集作業を想定した上で撮影を要するカットも見受けられました。編集にはこだわりを感じますが、編集作業に対する思いを聞かせてください。
オダギリ:編集、好きなんです。とにかく脚本を書くのと編集が好きなんですよね。昔はよく家で編集作業をしていたんですが、いつも時間を忘れてしまって気づいたら朝になっている。それくらいハマっちゃうんです。だからその楽しみを人に託すのは、ちょっともったいないなと。強欲な話ですね~(笑)。
今回もこだわってしまって、映画並みに時間をかけて編集してしまったので、プロデューサー陣には頭の痛い問題だったかもしれません。でもそれを許してくれたからこそ、この作品が納得できるものになったと思います。編集で本当にずいぶん変わるんですよ。脚本を書いている頭の中では映像が流れていて、実際にそのイメージでカットも割っているのですが、編集でその通りつないでも、不思議と面白くなかったりするんですよね。だから編集では、カット割りを崩していく作業になるんです。
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本来であればワンシーン・ワンカットでやりたくて、それがいちばんいいと思っているのですが、テレビの場合はテンポもスピード感も必要だし、尺も決まっているので、映画とは違う意識で編集をしました。流れに沿って話しますと、まずは、尺のことを考えずに自分の感覚で(映画的に)つないでみました。それが大体10分ほどオーバーしていたので、次はテンポをあげて、テレビ的なスピード感にしていき、最終的に尺に合わせて切っていきました。
今回の尺は1話43分30秒でしたが、その尺に合わせる作業が大変なんです。最後は1秒切るのも大変でどこを切ろうか…と時間をかけて話し合うんですが、今回は実はめちゃめちゃ楽でした。自分で脚本を書いている分、切ってもいい部分が明確に分かるし、自分で編集をしているから、この部分を切れば何秒切れるという計算が簡単に立つんです。そこは自分で編集して良かったところですね。
尺調整前の映画的なつなぎで作ったバージョンもあるので、BSやDVDなど何か観せられる機会を作りたいなと思っています。