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『コレクティブ 国家の嘘』アレクサンダー・ナナウ監督 国家の不正を暴く「瞬間」を捉えた衝撃のドキュメンタリーはいかにして生み出されたのか 【Director’s Interview Vol.147】

©Alexander Nanau Production, HBO Europe, Samsa Film 2019

『コレクティブ 国家の嘘』アレクサンダー・ナナウ監督 国家の不正を暴く「瞬間」を捉えた衝撃のドキュメンタリーはいかにして生み出されたのか 【Director’s Interview Vol.147】

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監督が現場で見たものを再現する編集



Q:現場ではカメラは1台だったんでしょうか。


ナナウ:そうです。ただし、被害者の家族のミーティングと、ジャーナリストが医師たちの記者会見にのぞむシーンだけ複数のカメラを使いました。あとは全部1台でした。


Q:それは驚きです。というのは、本作はドキュメンタリーでありながら、劇映画のような速いカッティングで編集されています。とても1カメで捉えた映像によって組み立てられたように見えません。編集はかなり苦労されたのではありませんか?


ナナウ:編集には1年半かかりました。前提として、観察型のドキュメンタリーの場合、素材の核心に何があるのかを自分がわかってきて、作品の大きな形が見えてくるまでに時間がかかるんです。



『コレクティブ 国家の嘘』©Alexander Nanau Production, HBO Europe, Samsa Film 2019


Q:観察型の映画というとフレデリック・ワイズマンや想田和弘のようなドキュメンタリー監督の名が浮かびます。ただ、今名前をあげた2人の場合は、撮影した素材をなるべく切らず、そのまま長尺で見せる編集スタイルが特徴だと思います。それに対しナナウ監督はカットを早く割りますね。そこには、どんな意図があるのでしょうか。


ナナウ:取材した人たちと一緒にいたその瞬間、自分が何を見てどう感じていたのか、ということを表現しようとして編集すると、自然にああいった風になるんです。題材によってはワイズマンや想田のように、起きていることをそのまま長回しで見せるということも必要だと思います。でもそこで何が起きているのか理解するため、短くカットしなければいけないこともある。


言い換えれば登場人物のその時のテンション、その場にいた時に私が感じ見たことを翻訳するのが編集作業であると考えています。




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