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『メインストリーム』ジア・コッポラ監督、いまのSNSは怪物的【Director’s Interview Vol.148】

©2020 Eat Art, LLC All rights reserved.

『メインストリーム』ジア・コッポラ監督、いまのSNSは怪物的【Director’s Interview Vol.148】

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SNSという題材で描きたかったのは、“感情”



Q:本作を拝見して秀逸だと感じたのは、大衆の“罪の所在”を克明に描いているところです。ノーワン・スペシャルを崇めるのも吊るし上げるのも「善良な一般市民」ですが、これまでの映画だと、きちんと彼ら(大衆)の責任を追及したものは少なかったのではないでしょうか。そこに切り込んだノーワン・スペシャルの演説シーンは、素晴らしかったです。


ジア:ありがとうございます。この物語がどういうゴールに向かうのかは、色々と考えを巡らせましたね。ノーワン・スペシャルにブーイングをしてステージから引きずりおろすのか、それともさらに持ち上げるのか。色々な選択肢があるなかで、いまの世界と照らし合わせて考えていきました。


現代の人々は、やっぱりノーワン・スペシャルのような人物を持ち上げがちなところがありますよね。そうして、さらに個々人のエゴが膨張していく。また、例えばSNS上に病んでいる人がいたとしても、手を差し伸べるのではなく見世物にしてさらに悪化させてしまう……なんてことは日常茶飯事です。そういった私が感じている“現状”を、後半の展開に反映させていきました。


ただ、今お話ししたのはエンタメの世界における一部分で、例えばグレタ・トゥーンベリさんのように、環境や社会をよくしようと行動を起こしている若者たちも多数いるかとは思います。



『メインストリーム』©2020 Eat Art, LLC All rights reserved.


Q:本作を拝見した際、「いま」を生きている人が作ったんだ、という肌感覚を得られて、共感する部分が多数ありました。例えばSNSの描き方が記号的で、実感が伴わない映画が世に多いと感じます。『メインストリーム』に魅了されると同時に、「なぜこうした感覚を持った作品が少ないのだろう?」と思ってしまいました。


ジア:どうしていま、こういった映画が少ないのかは正直分かりませんが、一つ言えるのは本作の資金集めには相当苦労した、ということです。ひょっとしたら、その部分にも何か理由が潜んでいるのかもしれないですね。


いまどういう映画が流行っているのかは私自身も分からないのですが、スタイルを重視する作品が多いようには感じます。私はどちらかというとスタイルよりも、細かい要素の方を重視しています。そういう意味では、トレンド感があるというよりむしろクラシックの映画に近いかもしれません。


本作で描いている題材は絵文字やソーシャルメディアですが、伝えたかったことはそこに宿る“感情”です。例えばこの映画がのちの時代に観られたときに、プラットフォームだけに注目されるのではなくて、感情を感じ取ってもらいたいと思いました。「本作で描かれているのは普遍的なもので、きっと未来でもわかってもらえる」という想いを込めて、全体の流れを作りましたね。



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