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『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』谷垣健治アクション監督 87イレブンからの推薦でハリウッド大作へ【Director’s Interview Vol.154】

©2021 PARAMOUNT PICTURES.HASBRO,G.I.JOE AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO. © 2021 HASBRO. ALL RIGHTS RESERVED.

『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』谷垣健治アクション監督 87イレブンからの推薦でハリウッド大作へ【Director’s Interview Vol.154】

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監督の希望を実現する



Q:今のお話に出ましたが、アクション監督と監督の関係性について教えてください。セカンドユニットの監督も務められたとのことでしたが、いかがでしたか?


谷垣:当たり前のことですが、僕はいつも監督を中心に物事を進めます。それは日本でも中国でも今回のアメリカ映画でも変わりません。監督がやりたいことを僕が具体化するというスタンスですね。だから今回もロバート監督に何でも聞いて、彼の望み通りに一度やってみて、それを踏まえた上で別案の方が良さそうであればそれを提案していました。


今回は、ファーストで人物を撮って、セカンドでカーアクションを撮るというような区分けではなく、ファーストでもセカンドでも人物を撮っているので、人物の描き方はちゃんと連動しているように気をつけましたね。だからセカンドで撮ったものは、逐一グループチャットでロバートに共有していました。向こうも撮影の合間にそれを見ては返事をくれていて、「これもいいけど、別のアングルも撮ってくれ」だとか「Great! これはOKだから次のパートに行こう」みたいに、そうやってコミュニケーションを取っていましたね。また、ファーストとセカンドで現場が近いことも多かったので、僕からロバートの現場に出向いて直接意見を聞くこともありました。



『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』©2021 PARAMOUNT PICTURES.HASBRO,G.I.JOE AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO. © 2021 HASBRO. ALL RIGHTS RESERVED.


Q:カーチェイスシーンでバイクからトレーラーの間を駆け上がるシーンは鳥肌ものでした。あのシーンこそハリウッドの規模ならではのショットだったのではないでしょうか。


谷垣:実はあのカットは、『Book of Love』(16)(邦題『本がつなげる恋物語』)という中国映画で、僕が実際に撮ったことがあるアクションなんです。アクション映画では無かったのですが、ヒロインが悪夢を見るシーンがあって、そこで使用される予定だったものの、実際に撮影した素材は本編では使われなかった。その撮影素材がパソコンに残っていて、それをたまたまロバート監督やプロデューサーたちが見たところ、「これは素晴らしい」「絶対やろう!」ということになりました。ハリウッドの規模ならではと言っていただきましたが、元々は中国映画だったんです(笑)。


ちなみにあのシーンはバンクーバーのスタジオでブルーバック合成だったので、撮影自体はすごく楽でしたね。



『G.I.ジョー:漆黒のスネークアイズ』本編映像 ー蛇VS嵐 宿命の対決篇ー


Q:このカーチェイスシーンはハイスピード撮影でしたが、ハイスピードでアクションを撮影する場合は何か留意する点などはあるのでしょうか。


谷垣:ハイスピード撮影、つまり完成した映像的にいうと「スローモーション」ということですよね。僕が気にする点は特にありませんが、ハイスピード撮影の場合は光量がたくさん必要になるので、撮影・照明スタッフは色々と気にする点が出てきますね。特に今回の撮影監督のボジャン・バゼリは、ライティングにかなりこだわりがある人だったので、ライティングに影響してくるハイスピード撮影をすごく嫌がっていました。


僕はハイスピード撮影が特に好きなわけでは無いのですが、ハイスピードという選択肢がなくなるのも嫌だったので、その辺はちょっとボジャンとけっこうやり合ったりもしました。ボジャンがいないセカンドユニットの撮影ではハイスピードで撮ってましたね(笑)。ハイスピードで撮っても、編集時にノーマルのコマ数には戻せるので、どっちで撮るか選択に困ったときはハイスピードで撮っておいて、編集での選択肢を増やしておきたいんです。



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