『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』谷垣健治アクション監督　87イレブンからの推薦でハリウッド大作へ【Director’s Interview Vol.154】

“るろ剣”チームで臨んだ日本での撮影

Q：森の中や城下町でのアクションなどは「るろうに剣心」シリーズを思わせるショットがありました。その場で繰り広げられるアクションを踏まえて、ロケーションや美術、カメラワークなどにも谷垣さんの意見が反映されているのでしょうか？

谷垣：アクションシーンに関しては、今回はビデオコンテ（Vコン）を一通り作ったので、それが多少参考になっているかもしれません。ただ最初は、ロバート監督はそのVコンはほとんど参考にせずに、全然違う内容で撮っていたんです。かと思えば、いきなり現場で僕のVコンをモニターに流し始めて、その通りに撮ったりもしていました。雨が降っている東京の裏路地でのアクションシーンは、ほぼ僕のVコン通りに撮っていますね。ロバートが何を基準にしてVコンを活用しているのかは分からなかったのですが、僕の意見（Vコン）が参考になっている部分となっていない部分があると思います。

撮影イン前には、役者のアクショントレーニングをしている様子を毎日撮って、プロデューサーやロバート監督に逐次送っていました。それを見た彼らのリアクションを踏まえ、彼らの好みの傾向を把握して、それを中心にアクションを作っていきました。これは『るろうに剣心』と同じやり方です。大友啓史監督が「これすごいね！」って言ってくれたものを集めて作ったのが、るろ剣アクションなんです。

『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』©2021 PARAMOUNT PICTURES.HASBRO,G.I.JOE AND ALL RELATED CHARACTERS ARE TRADEMARKS OF HASBRO. © 2021 HASBRO. ALL RIGHTS RESERVED.

Q：セカンドユニットの撮影は『るろうに剣心』シリーズの石坂拓郎さんですが、このスタッフィングにも谷垣さんの意見が反映されているのでしょうか。

谷垣：そうですね。バンクーバーの撮影では、『ターミネーター：ニューフェイト』（19）やJJ・エイブラムスの映画のセカンドユニット撮影監督として活躍している、ブルース・マクリーリーという方に撮影してもらっていました。おじいちゃんなんですけど、アクションを撮るのはとても慣れてましたね。日本での撮影は現地スタッフでやることになったので、石坂拓郎さんと豊田実さんを紹介して、参加してもらいました。

豊田さんは、るろ剣でCカメをやってもらっていて、Aカメ、Bカメの間で自由に面白い画を撮るのが得意な人です。それで今回は、ファーストユニットにカメラマンとして入ってもらいました。石坂さんはセカンドユニットの撮影監督として全体像、ルックを見てもらいました。石坂さんは照明に平野勝利さんのチームに声をかけていて、そうすると結局るろ剣チームと同じ布陣になるわけです（笑）。加えてロケ場所も、るろ剣と同じ茨城のワープスステーションで撮ったところもあって、ヘンリー・ゴールディングが走っている屋根は、るろ剣で佐藤健さんが走った屋根なんですよ。だからどこかるろ剣っぽく見えるとしたらそういう原因もあるのかもしれません。

まるでジャズセッションだったイコ・ウワイスとのアクション