『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』谷垣健治アクション監督　87イレブンからの推薦でハリウッド大作へ【Director’s Interview Vol.154】

PAGES

2021.10.23香田史生

佐藤健主演『るろうに剣心』シリーズの超絶アクションには、ハリウッド好きの映画ファンでも思わず唸った方が多いのではないだろうか。一連のシリーズのアクションを手掛けたのは、香港映画界で修行を積んだ谷垣健治氏。アクション監督としては日本のみならず、香港映画界をはじめアジアでも有名な存在だ。

世界からも注目されている谷垣氏だが、この度ハリウッド大作からも声がかかり、『G.I.ジョー：漆黒のスネークアイズ』でアクション監督を務めることとなった。ハリウッド大作のアクションをどのように作り上げたのか？　谷垣氏に話を伺った。

Index

きっかけは87イレブンからの推薦

Q：今回はどういった経緯で、アクション監督のお話が来たのでしょうか。

谷垣：2019年2月頃に、プロデューサーのジェフ・ワックスマンから連絡がありました。どうやら、87イレブン・アクション・デザイン*のジョナサン・エウセビオ（以下：ジョジョ）というスタントコーディネーターが、僕のことを推薦したらしいんです。僕はジョジョとはあまり面識がないのですが、87イレブンのチャド・スタエルスキ監督とは知り合いだったので、その流れで僕の名前が出たのかもしれません。

ジェフとジョジョは以前『ジョン・ウィック：パラベラム』（19）を一緒に作っていて、今回も一緒にやる予定だったらしいのですが、ジョジョはちょうどNetflixの『ケイト』（21）の撮影が被って担当できないから、それで僕がいいんじゃないかと。

当初は2019年5月くらいに撮影が予定されていました。そこはちょうど『るろうに剣心最終章 The Final / The Beginning』（21）の撮影と被っていたので、一旦断ったんです。その後、色々と延期になったらしく、今度は「5月にロケハンで日本に行くからそこで話そう」と連絡が来まして、それでジェフや他のプロデューサー、そして監督のロベルト・シュヴェンケ（以下：ロバート）と実際に会って話しました。

ロバートは日本映画を相当観ていて、「自分は深作欣二の大ファンだから、オープニングは『仁義なき戦い』みたいな感じにしたいんだ」と言っていました。僕でさえ知らないような日本映画のことも話に出てきて、僕は必死で知ったかぶりをしてましたが（笑）、これは相当なマニアだなと。面白そうな監督だからぜひ一緒にやってみたいなと思いましたね。

ただやはりネックだったのがスケジュールで、『るろうに剣心最終章The Final / The Beginning』の後は、ある中国映画をやる予定だったんです。そして実はそのとき『シャン・チー/テン・リングスの伝説』の話も来ていました。『シャン・チー』の方はAvailable Listの段階だったのでスケジュールを聞かれただけですけど、どちらにしても中国映画の方が決まっていたから無理だなと思っていました。でもその後、その中国映画の脚本が中国当局の審査を通らず、制作自体が中止になったんです。それでやっとタイミングが合って、本作に参加できるようになりました。

*）デヴィッド・リーチとチャド・スタエルスキらが設立した、ハリウッドトップクラスのアクションチーム。これまで『ジョン・ウィック』シリーズや『アトミック・ブロンド』『デッドプール2』などを手掛けている。

最優先されたのは撮影スケジュール

PAGES