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第34回東京国際映画祭Nippon Cinema Now部門 吉田恵輔監督 ゴールは “映画界の高田純次”【Director’s Interview Vol.156】

第34回東京国際映画祭Nippon Cinema Now部門 吉田恵輔監督 ゴールは “映画界の高田純次”【Director’s Interview Vol.156】

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撮影は20日、編集は3日で終わらせる



Q:海外の映画祭でタキシードを着て、大きな賞を受賞するイメージはないですか?


吉田:ないない、ないです。だから脚本を書く気力が最近起きない。もうめんどくさくなってきちゃったんで、少しお休みしようと思ってます。


Q:でも新作の脚本も執筆していると聞いてます。


吉田:まあ、それもやりますけど、もうちょっとポケモンGOとかに専念したいかなと(笑)。


Q:とはいえこれまでも、映画の合間にポケモンばっかりやってるとか、ボクシングのスパーリングパートナーやってるとか、物理の本ばっか読んでるとか言うわりに、実はちゃんと仕事もしてますよね? コンスタントに作品を発表して、今年も新作が2本も公開されてますし。


吉田:俺って、そんなに仕事はしてないんだけど、早いんですよね、すべてが。書くのも早くて、『愛しのアイリーン』(18)だって脚本は二週間で書いてる。原作モノでいえば『ヒメアノ~ル』もだいたい二週間くらい。予算もないし撮影は20日間くらいで、編集は3日で終わっちゃう。プロデューサーが編集に一週間取っていても、俺、3日しか電車に乗らないんです(笑)。そうなると「一年で働いたのって何日?」って感じになるんですよね。俺ってわりと省エネなんです。


『愛しのアイリーン』予告


Q:『ばしゃ馬さんとビッグマウス』(13)みたいに、何年努力をしても芽が出ないという怨念と焦りが作品に昇華された例もあります。そういう不遇時代のルサンチマンは、もう解消されていますか?


吉田:俺、二十代の時に落ちまくって、監督になんてなれないと思い込んじゃってたんですよ。そうすると、東京国際映画祭とかは、もうやってるフィールドが違うって思うようになる。こっちは町内会の野球で優勝しようとがんばってるから、メジャーリーグの選手が来てくれればみたいには思わないじゃないですか。本当はそっちで勝負しないといけないんだろうけど、まだ今も違和感を感じてるんですよね。


出てくれる役者さんたちも、テレビで見る人たちなわけじゃない?(笑) 原作ものだったらともかく、俺が書いたオナニーみたいなオリジナル脚本に協力してくれるなんて、こんなことあっていいんだろうかみたいな感覚はずっとありますよ。


Q:その気持ちは今でもですか?


吉田:そうですね。でも同時に、思ったより評価されないぞみたいな気持ちと両方あるっていう感じです。だから今回の特集上映も、PFFの一次審査や二次審査を通過できなかったトラウマがまだ抜けてない人間からしたら、現実味がないんです(笑)。




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