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『そして、バトンは渡された』前田哲監督インタビュー 自分の想像を超えてくるから映画は面白い【Director’s Interview Vol.157】

『そして、バトンは渡された』前田哲監督インタビュー 自分の想像を超えてくるから映画は面白い【Director’s Interview Vol.157】

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本屋大賞を受賞した令和最大のベストセラー小説の映画化『そして、バトンは渡された』がついに公開された。出演には、永野芽郁、田中圭、石原さとみら豪華キャストが集まり、まさに“話題作”といった布陣の作品だが、映画は137分という時間をかけて、非常に丁寧な作りで物語を紡いでゆく。監督は、『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』(18)『老後の資金がありません!』(21)を手掛けたベテラン、前田哲。


自ら映画化を熱望したというこの原作を、前田監督はどんな思いを込めて作ったのか? 前田監督と縁の深い、相米慎二監督の話も交えつつ、その創作について語っていただいた。


Index


監督自ら映画化を熱望した原作



Q:今回の映画はどういった経緯で前田監督に依頼があったのでしょうか?


前田:この作品は依頼されたのではなく、僕から企画を持ち込みました。瀬尾まいこさんの原作「そして、バトンは渡された」に出会ったのは、ちょうど『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』の仕上げをしていた頃でした。タイトルやあらすじに惹かれて、本を手にしたんです。当時は忙しくてなかなか読めなかったのですが、読んだら是非映画化したいと思いましたね。


Q:それほどこの原作を映画化したいと思った理由は何だったのでしょうか。


前田:原作の力が大きいと思いますが、自分からも「ぜひこれをやりたいんです」と強く意思表明しました。現在、子どもに関する問題や事件を目にすることが多くなっている中で、子どもたちの未来に対して明るいものを提供したい、そういう映画を作りたいという思いがありました。映画になりそうな題材を探して色んな小説や企画を読んだのですが、今ひとつしっくりこなかった。そんな中で出会えたのが瀬尾さんの原作でした。


この原作は、物語が希望を語っているのではなく、物語そのものが希望になっていました。そっと背中を押してくれて、「大丈夫だよ」と優しくささやいてくれるような物語。「人を信じていいんだよ」という瀬尾さんのメッセージを、そのまま映画化したいという思いに駆られました。



『そして、バトンは渡された』©2021映画「そして、バトンは渡された」製作委員会


Q:原作はベストセラーで本屋大賞も取っています。映画化権の獲得も大変だったのではないでしょうか。


前田:僕が映画化に動いたのは、本屋大賞を取る前だったんです。読んですぐに瀬尾さんに手紙を書いて、映画化の意図と意思を伝えました。かなり早い段階で動けたのはよかったですね。実際に本屋大賞を取ってからは、色々と映画化のオファーがあったみたいです。


原作に出会えたのはまさにタイミングだったと思います。キャストも早くに決まりましたし、こんなにスムーズに決まっていくのは稀有ですね。『ブタがいた教室』(08)の映画化は13年近くかかりましたし、『こんな夜更けにバナナかよ〜』も3年半かかりました。そんな中、しかもこのコロナ禍でよく映画化できたと思います。


Q:永野芽郁さん、田中圭さん、石原さとみさんと、キャスティングも豪華です。


前田:これも原作の力が大きいと思います。キャストが揃わなかったら、どんなにいい原作や企画だったとしても成立しない。今の時代は俳優さんの力が大きいと思います。彼らが乗ってくれると、映画化はさらに大きく動いていきます。




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