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『リスペクト』リーズル・トミー監督 偉大なる「ソウルの女王」を、本人の遺志を守って映画に【Director’s Interview Vol.159】

© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved.

『リスペクト』リーズル・トミー監督 偉大なる「ソウルの女王」を、本人の遺志を守って映画に【Director’s Interview Vol.159】

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アレサの親族も現場でアドバイス



Q:現場にはアレサの親族も見学に来たそうですね。


リーズル:アレサと親しい親戚の人たちが来てくれて、当時の裏話などを聞くことができました。従姉妹の一人はバックシンガーの撮影にも協力してくれました。その従姉妹は実際にアレサのバックを務めたことがあり、絶対に彼女の左側には立たなかったと教えてくれたのです。最初、私は逆の立ち位置で演出していたので、そのアドバイスは助かりました。親戚の人たちは、みな私や脚本家を信頼してくれたので、一緒にレガシーを創り上げた気分です。


Q:名曲が次々と出てきますが、アレサのキャリアを考えると、もっと使いたい曲もあったのでは?


リーズル:撮影したのに泣く泣くカットした曲もあります。ひとつはゴスペルの「Jesus Be a Offence around Me」で、アレサの子供時代を演じた、スカイ・ダコタ・ターナーが素晴らしい歌唱力を披露してくれたので、カットは断腸の思いでした。もうひとつはジェニファーが歌う「Dr. Feelgood」。セクシーでクールな曲で私自身も大好きなので、完成した今もカットしたことは悔やんでいます。(※注:「Dr. Feelgood」はサントラには収録された)



『リスペクト』© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved. 


Q:『リスペクト』は、マーティン・ルーサー・キング牧師との交流など、音楽以外のアレサの生き方にもフォーカスします。


リーズル:アレサは、黒人の人権やジェンダーの差別など、社会問題の運動に積極的に参加していました。そして1960〜70年代のこうした問題は、今も#MeTooやBLM(ブラック・ライブズ・マター)のような運動として続いています。社会がそう簡単に変わらないことを突きつけられるので、私たちは戦い続けなければならないのでしょう。


Q:もしアレサがまだ生きていたら、どんな質問をしたかったですか?


リーズル:「今、どんな曲を歌いたい?」ですね。いろいろな時代を生きてきた彼女が、80代、90代と歳を重ねていたら、どんな音楽に挑戦し、どんなアルバムを出していたのだろう。亡くなる直前まで、パワフルな歌唱力は健在でしたから……。そんなことに思いを馳せてしまいます。



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© 2021 Metro-Goldwyn-Mayer Pictures Inc. All Rights Reserved. Eric Charbonneau


監督:リーズル・トミー

南アフリカ生まれ。新劇、古典劇、ミュージカルなど演劇監督として活躍してきた経歴を持つ。16年、ルピタ・ニョンゴ主演のブロードウェイ作品「Eclipsed」で黒人女性として初めてトニー賞の演出賞にノミネートされた。また、米ディズニーランドで上演された舞台「アナと雪の女王」や、現代版にアレンジされた「レ・ミゼラブル」では、有色人種を中心としたキャスティングで注目を浴びている。近年、映画やテレビへと創作の幅を広げており、「ウォーキング・デッド」(10)や「ジェシカ・ジョーンズ」(15)などの人気ドラマシリーズのエピソードを監督。本作『リスペクト』で長編映画監督デビューを果たす。次回作にはトレバー・ノアのベストセラー回顧録を基にした映画『Born a Crime(原題)』が控えている。さらに、2022年春より撮影予定のディズニープラススピンオフ実写ドラマシリーズ「美女と野獣」のエピソード監督に就任予定。



取材・文:斉藤博昭

1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。




『リスペクト』

11月5日(金)TOHOシネマズ日比谷他 全国ロードショー 配給:ギャガ

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