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西川美和と山下敦弘、二人の監督が語る「映画とウイスキー」前編 Love Cinema. Love Whisky.

西川美和と山下敦弘、二人の監督が語る「映画とウイスキー」前編 Love Cinema. Love Whisky.

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映画に出てくるかっこいいウイスキーの飲み方



Q:西川監督は、普段もロックで飲むことが多いんですか?


西川:家で飲むときは、だいたいロックかストレートで飲みますね。


山下:すごい、それは本当に好きですね。僕はだいたいハイボールか水割りです。


西川:でも家ではたくさんは飲まないですよ。シングルにも満たない量を舐めるようにゆっくりちょっとずつ飲む感じ。アメリカ映画では、みんなびっくりするくらいぐいぐい飲むけど。


Q:家で映画を見るとき、映画につられてお酒を飲みたくなったりはしますか?


西川:私がウイスキーを家で飲み始めたのはまさにそれなんです。一日の最後に、家で配信やDVDで映画を見ながらウイスキーを飲むのが好きなんですけど、それはやっぱり映画の中でウイスキーを飲むシーンが多いからだと思う。



西川美和監督


山下:子供のころから、映画の中でウイスキーを飲んでる大人ってかっこよく見えましたよね。ただ僕の場合憧れたのは、雰囲気のいいバーでかっこよく飲んでる画じゃないんですよね。スキットルに入ったのを外で飲んでたり、瓶ごとぐびぐび飲んだりするような、もっとラフな飲み方。まだ味もわからないくせに、外国のウイスキーの瓶ラベルがかっこよく見えたりして。よく覚えてるのは『プラトーン』(監督:オリヴァー・ストーン、86)で、トム・ベレンジャー演じるバーンズが、ウイスキーを瓶ごとラッパ飲みするシーン。チャーリー・シーンに絡んで、口元からだらだらこぼしながら(笑)。かっこいいのとはまた違うんですけど、いかにもアメリカな感じがして記憶に残ってますね。


西川:ウイスキーって一見男性が飲んでるイメージが強いけど、映画を見ていると女性も普通に飲んでますよね。誰かが家に来るなり、お茶がわりに一杯ウイスキーを差し出したりとか。私、『評決』(監督:シドニー・ルメット、82)がすごく好きなんですけど、ポール・ニューマンが昼間っから酒ばっかり飲んでるだめな弁護士役を演じてて、朝はいつも行きつけのパブでピンボールをしては、ビールの中に生卵を落として一気に飲むんですよ。


山下:え、それってどういう状況なんですか?


西川:たぶんろくな食事もせずに、朝からぬるそうなビールばかり飲んでる生活なんですよね。だから生卵がせめてもの栄養補給ってことなのかな。でも夜になると、カウンターでショットグラスに入ったウイスキーをくいっと飲む。あれがかっこいいんですよ。そのパブにシャーロット・ランプリング演じる謎めいた女がよく来ていて、ポール・ニューマンは酒を奢ったりするうち彼女に入れ込んでいくんだけど、実は彼女は……というのが映画のストーリー。シャーロット・ランプリングはパブで奢られたウイスキーを平然と飲み干し、彼の家に行ったときも「一杯飲む?」なんて言われてウイスキーを飲む。しかも二人はグラスを持ったままお互いの背中に腕をまわして、キスをするんです。大人っぽいんですよねえ。




山下:そうか、僕はウイスキーというとボトルごと飲んでるイメージが強いけど、西川さんのなかではやっぱりちゃんとグラスに入れて飲むお酒なんだ。


西川:ショットグラスで、というのもよく見ますよね。


山下:たしかに。日本だとショットグラスはテキーラのイメージが強いけど、アメリカ映画だと普通にそういう飲み方してる気がする。


西川:山下さんもそうだと思うけど、私もニューシネマをはじめいわゆるアメリカ映画に憧れてきた人間だから、映画を見てその飲み方に憧れる、というのはやっぱりありますよね。とはいえ、ショットグラスで次々と、なんて飲み方は真似できないですけど(笑)。




『クレイジー・ハート』『ハスラー2』『天国と地獄』に『評決』まで、お二人の話にあがった映画は味わい深い名作揃い。今夜はウイスキーを片手に、そんな映画を楽しんでみては? 憧れの世界にどっぷりと浸れるかもしれません。


後編では、撮ってみたいウイスキーのシーンや俳優など、お二人が考えるウイスキー演出や、スタッフとのエピソードなどを伺いました。お楽しみに! 後編はこちらから



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映画監督:西川美和(にしかわ・みわ)

1974年広島県生まれ。早稲田大学第一文学部卒。2002年に『蛇イチゴ』でオリジナル脚本・監督デビュー。続く長編作品に、『ゆれる』(06)、『ディア・ドクター』(09)、『夢売るふたり』(12)、『永い言い訳』(16)。佐木隆三の小説『身分帳』を原案とした最新作『すばらしき世界』(2021年・主演:役所広司)は、シカゴ国際映画祭外国語映画部門観客賞など受賞。小説では、『ゆれる』『きのうの神様』『その日東京駅五時二十五分発』『永い言い訳』。エッセイに『映画にまつわるxについて』『遠きにありて』『スクリーンが待っている』などがある。



映画監督:山下敦弘(やました・のぶひろ)

1976年愛知県生まれ、大阪芸術大学芸術学部映像学科卒。『どんてん生活』(99)が国内外で高い評価を受け、ヒット作『リンダ リンダ リンダ』(05)で新境地を開く。『天然コケッコー』(07)では第32回報知映画賞・最優秀監督賞を最年少受賞。以降『マイ・バック・ページ』(11)、『苦役列車』(12)、『もらとりあむタマ子』(13)、『味園ユニバース』(15)等、作家性と娯楽性とを混ぜあわせた作風で人気を呼んでいる。『ハード・コア』(18)で芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞。ドラマ「コタキ兄弟と四苦八苦」(20)では、ギャラクシー賞テレビ部門奨励賞、ATP賞ドラマ部門最優秀賞を獲得。近作は「昨日より赤く明日より青く-CINEMA FIGHTERS project-『言えない二人』」(本年11月26日公開予定)。



取材・文:月永理絵

映画ライター、編集者。雑誌『映画横丁』編集人。『朝日新聞』『メトロポリターナ』『週刊文春』『i-D JAPAN』等で映画評やコラム、取材記事を執筆。〈映画酒場編集室〉名義で書籍、映画パンフレットの編集も手がける。WEB番組「活弁シネマ倶楽部」でMCを担当中。eigasakaba.net


撮影:青木一成


イラスト:川原瑞丸



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