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『香川1区』大島新監督 前作を凌ぐ娯楽大作で描いた日本の民主主義の実像【Director’s Interview Vol.171】

『香川1区』大島新監督 前作を凌ぐ娯楽大作で描いた日本の民主主義の実像【Director’s Interview Vol.171】

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現実へ介入することへの迷い



Q:取材をしていく中で、前作『なぜ君~』との大きな違いは何でしたか?


大島:前作の時、私たちは取材者であり記録者だった訳ですよね。それが今回は当事者として、現実に介入する人になっている。ロケ中は特にそれを感じました。


小川陣営に行けば「映画のおかげで…」と言われ、それはそれでこそばゆいところもあるわけですけれども、平井さんの陣営からは「PR映画だ」と言われる。だから、そのことも含んだ記録にするしかないと思っていて、それが不思議な感じでした。


Q:前作が公開された時、大島監督は「自分はあまり被写体に近づくほうではない」という意味のことを仰っていましたが、今回はかなり入りこんでいった感じですか?


大島:いや、気をつけているつもりではいたんですけどね。たまたま映し出されているシーンがそうなっているのかもしれないですね。小川さんの、「51対49」という言葉を借りれば、49の部分で友人ではあるんですけど、やっぱり51は取材者、監督として接したいと思っています。



『香川1区』© 2021 NETZGEN


Q:本作で私が一番好きなパートがあります。岸田首相が香川に応援演説に来る。その会場に大島さんが取材に行くと、報道機関しか入れないと、門前払いされてしまう。でも、その後に調査報道として、すごい事実を突き止める。「報道機関じゃないとダメだ」と言われたのに、報道機関も顔負けの事実を掘り下げる流れになっていて、あの構成が非常に痛快でした。


大島:あの情報を最初に聞いた時は「裏の取れる話なのか」と戸惑いましたね。それこそ週刊文春の記者や弁護士にも相談して、今回作品に入れました。私が『なぜ君~』の監督だから、告発者の方はやむにやまれぬ思いで、情報をくれたわけです。地元メディアにその情報を持っていっても、握りつぶされてしまう。だから多分決死の気持ちだったんじゃないかと思います。向こうから私にアクセスしてきてくれたんですが、そういった点でも、私たちが当事者になってしまっているわけです。


Q:大島監督の1番お気に入りのパートを教えてください。


大島:小川さんが田﨑さんとケンカした後のタクシーの中ですね。


Q:小川さんが政治ジャーナリストの田﨑史郎さんに感情むき出しで怒った直後に、タクシーの中から電話であやまるシーンですね。


大島:あの時、横にいたの秘書の方が「もう何やってんの!」みたいな感じで顔を覆うんですよ。あれがね、僕のツボなんですよ(笑)。


Q:大島さんが小川さんに、すかさず「謝った方がいい」とアドバイスしているのも印象的でした。


大島:でもあのシーンがあるから救われてますよね。あれがないと、小川さんが結構危ない人に見えてしまう。




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