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Netflixシリーズ『新聞記者』藤井道人監督が語る時代と世代。カギは“自分事化” 【Director’s Interview Vol.173】

Netflixシリーズ『新聞記者』藤井道人監督が語る時代と世代。カギは“自分事化” 【Director’s Interview Vol.173】

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藤井監督が最近観たNetflix作品は?



Q:藤井監督がいまどんな作品に興味を持っているのかは、観客の皆さんはもちろん、多くのクリエイターも興味を持っているところだと思います。最近は、どんな作品をご覧になりましたか?


藤井:Netflixだと『浅草キッド』が面白かったです。軽い気持ちで観たら、柳楽優弥さんのお芝居がすごくて驚きましたし、大泉洋さんの作品の中では一番好きでした。やっぱり劇団ひとりさんは素晴らしい監督だなと思いましたね。「映画とはこう」みたいな縛りがなく、観客に寄り添って芝居をしっかり撮っているのが良いなと感じました。


ヨン・サンホ監督の『地獄が呼んでいる』も、これが初登場世界1位になるのがすごいなと感じました。ぱっと見、ドンキーコングが暴れているドラマですから(笑)。でもみんな芝居がすさまじく上手いですし、面白かったです。



『浅草キッド』予告


Q:劇団ひとりさんはお笑い芸人さんですし、ヨン・サンホ監督はアニメ畑の出身です。この2作品だけでも、藤井監督の視野の広さが見えてきます。


藤井:ありがとうございます。でも、至高の傑作はやはり『ペーパー・ハウス』。シーズン5で完結しましたが、悔しいという感情を通り越して単純にファンです。僕は普段涙腺が固いのですが2回泣きましたし、あんなに素晴らしいクリエイターの方々に惜しみない拍手を送りたい気持ちです。ああいった熱量を持った作品を作りたいなと感じます。


Q:『ペーパー・ハウス』はスペインの作品ですし、ハリウッド系列だけではない多様な作品を観られるのはNetflixの良さですよね。


藤井:そうですね。もちろん僕は映画人なので、映画というものをちゃんと追いながらではありますが、Netflixのような動画配信サービスがある種体現する「肯定する力」はすごいなと思います。この業界はやっぱり排他的な部分が強いと感じますが、お互いに良いところは認め合って、今後もっと共生していくべきだと思います。


Q:そういったビジョンは、藤井監督が目指すところのひとつだったりするのでしょうか。


藤井:はい。そこまでできたら、自分の時代の役目を終わることができると思いますし、次の世代がどういうものをやってくれるのか、ちゃんとサポートに回れる自分でいたいですね。





監督・脚本:藤井道人(ふじい・みちひと)

1986 年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。大学卒業後、2010 年に映像集団「BABEL LABEL」を設立。伊坂幸太郎原作『オー!ファーザー』(2014年)で商業作品デビュー。 以降『青の帰り道』(18年)、『デイアンドナイト』(19年)、『宇宙でいちばんあかるい屋根』(20年)、『ヤクザと家族 The Family』(21年)、など精力的に作品を発表しており、映画『余命10年』(22年)など待機作品を多く控える。第43回日本アカデミー賞では映画『新聞記者』が最優秀作品賞含む6部門受賞、他にも映画賞を多数受賞。今最も注目されている映画監督の1人である。



取材・文:SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」 「シネマカフェ」 「装苑」「FRIDAYデジタル」「CREA」「BRUTUS」等に寄稿。Twitter「syocinema





Netflixシリーズ「新聞記者」

2022年1月13日(木)よりNetflixにて全世界同時独占配信

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