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Netflixシリーズ『新聞記者』藤井道人監督が語る時代と世代。カギは“自分事化” 【Director’s Interview Vol.173】

Netflixシリーズ『新聞記者』藤井道人監督が語る時代と世代。カギは“自分事化” 【Director’s Interview Vol.173】

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長編映画『ヤクザと家族 The Family』、短編映画『DIVOC-12』、テレビドラマ『アバランチ』、ネットドラマ『箱庭のレミング』『会社は学校じゃねぇんだよ 新世代逆襲編』、アニメ『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』――。2021年、藤井道人監督が私たちに見せる“幅”はより広がった。


そして2022年、彼はNetflixへと“帰還”を果たす。日本アカデミー賞で最優秀作品賞・最優秀主演男優賞・最優秀主演女優賞を獲得した映画『新聞記者』(19)を全6話のドラマへとリブートした『新聞記者』だ。スターサンズを率いる河村光庸が引き続き企画・プロデュースを務め、脚本は山田能龍、小寺和久、藤井監督の3人体制に。国家主導の公文書改ざん事件をめぐり、新聞記者・松田杏奈(米倉涼子)、総理夫人付秘書・村上真一(綾野剛)、大学生・木下亮(横浜流星)、国家公務員・鈴木和也(吉岡秀隆)とその妻・真弓(寺島しのぶ)ほか、人々の運命が激変していく群像劇へと進化を遂げた。


より鋭く、深みを増した物語とテーマ性、クオリティに打ちのめされるであろう新生『新聞記者』。藤井監督が追求したのは、「自分事化」との言葉に代表される「同時代性」だった。世界各国の最新映画・ドラマを摂取し、創作を行う藤井監督の“視野”を織り交ぜつつ、現在とこの先の未来を伺った。


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映画版で叶わなかった「市井の目線」を導入



Q:映画版『新聞記者』とNetflixシリーズ『新聞記者』を比較した際、大きな違いは木下亮(横浜流星)に代表される「市井の人々の目線の有無」かと思います。以前の映画版でもコンビニ店員の役を入れようとしたけれど、スケジュールの都合で難しかったと伺いました。


藤井:映画のオファーをいただいた際、濱田岳くんなどにコンビニ店員を演じてもらえたら、と提案したことを明確に覚えています。(企画書に)「官僚とメディア」とあるけれど、その新聞を並べているコンビニ店員はきっと中身を見ていない。そういった人たちにどうやって近づけるかを、市民の目線を入れてやりたいと思ったのですが、クランクイン直前でもう間に合わないという話になりました。であれば割り切って「現行の流れでいいものにします」と決めて、映画に取り組んだんです。


その後、ドラマ化が決まり、4・5時間の尺をいただけたとき、真っ先にやりたいのはそこだと言いましたね。メディアと国を守る人たちの構造は映画で一度やっているので、米倉涼子さん演じる新聞記者、綾野剛さん演じる官僚、横浜流星演じる新聞配達員の群像劇として、この作品を観客に届けたいと思いました。



Netflixシリーズ「新聞記者」2022年1月13日(木)よりNetflixにて全世界同時独占配信


Q:『光と血』(17)や『名もなき一篇』(14)など、藤井監督は一貫して市井の人々の目線で事件や社会を描き続けていますよね。


藤井:もしかしたらそこが、自分の監督としての弱いところかもしれないですね。僕自身はやっぱり自分事化しないと書けないし撮れない人間なので、『余命10年』(2022年3月4日公開)で茉莉(小松菜奈)ちゃんという女性を描く際に、自分と彼女の接地面をどこに作ればいいんだろうと悩んだときもありました。今回は亮というキャラクターを書けたことで、すごく自分事化して書けましたね。自分の大学時代のことを思い出しながら、自己投影して作っていきました。



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