ファンタジーであり、ドキュメンタリー
Q:本作はドキュメンタリー的な作り方になっていますよね。春のシーンはステイホーム期間の日常として構成できますが、夏に移り「私」の心境が変化していくところは、実際に経験しないと構成できないシーンですよね。
八代:そうですね。あの時期を普通に生きていた人間の一人として、自分の心境がそのまんま出ていると思います。
あの頃、テレビを見るとみんなが神妙に「この事態をどうする」と話し合っていた。もちろんそれは大事なことだと思う一方で、僕はどちらかと言うと、あまり声を大にして言えなかったけどーー世の中のサイクルが止まったことで普段できなかったことができるとか、繋がりすぎた人間関係から離れて、毎日太陽の巡りを感じながらモノを作ることにすごく幸せを感じた。たぶん他にも「このできすぎた社会を一回離れてみるのもいいじゃん」と感じた人もいるはずで、僕はそちら側だったかもしれない。
何年か後にこの時期のことを思い返した時に、悪いことだけじゃなくて良いこともあったよねと、少しほんわかと振り返られるものにしたいなと思って作っていました。
『プックラポッタと森の時間』(C)TAIYO KIKAKU Co., Ltd./TECARAT
Q:大変だった事は後からも克明に思い出すことができますが、その瞬間の光景が美しいな、嬉しいなと思ったことって、儚くて、思い出せなくなることもあると思うんです。『プックラポッタと森の時間』は、見る人それぞれのステイホーム中にあった嬉しいこと、良かったことを思い出すきっかけをくれる作品だと思います。
八代:そうなってくれるといいなと思います。