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『プックラポッタと森の時間』八代健志監督 コロナ禍で止まった刻を見つめる【Director’s Interview Vol.180】

『プックラポッタと森の時間』八代健志監督 コロナ禍で止まった刻を見つめる【Director’s Interview Vol.180】

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世界初⁉︎セミの羽化と人形アニメのコラボ



Q:セミの羽化と人形アニメを一緒に撮ったシーンには驚きました。おそらく世界初の試みですよね。


八代:昔からセミと人形を一緒に撮ったら面白そうだと思っていたんです。今回撮ったのはハルゼミという5月に大量に羽化するセミなんですが、それをタイムラプスで撮ると科学番組の記録映像のような、典型的タイムラプス映像になる。そこに人形を入れたら面白いなと。


セミの声が聞こえ始めた時期の夕方、懐中電灯を持って家の周りを這いずり回って地面から出てきた幼虫を探しました。すぐに何匹か見つかるんだけど、いざカメラを据えて撮りだしてもヨチヨチ歩いて逃げちゃったりする。今まさに羽化が始まるぞ、ってタイミングじゃないとその場に留まってくれない。「今日はこいつだ!」って決めて急いでカメラを据えて、照明、人形……と準備している間に、セミの背中がパカッと割れちゃったり。だから実は、羽化の最初の段階は何度トライしてもカメラに収めらなかったんです。


『プックラポッタと森の時間』(C)TAIYO KIKAKU Co., Ltd./TECARAT


Q:ハルゼミの羽化は全部で何時間くらいかかるんですか?


八代:日没から始まり3時間くらいでほぼ羽が伸びるんですが、そこから明け方までずーっとその場で乾かしてるみたいです。トータル8〜9時間くらいなのかな。毎日たくさんの羽化を追ってると、実は教科書通りに羽化を全うする個体ばかりでないこともわかりました。結構な割合で、力尽きるのか途中で動かなくなってしまうんです。でもその亡骸は朝には跡形もない。明け方、鳥が一斉にピーチクピーチクすごい声で大騒ぎを始めるんですが、あれは羽化途中で力尽きてしまったセミたちを我先にと奪い合って食べてる時なんじゃないかな。多分、鳥にとって朝一番に用意された御馳走だと思うんです。昔の人は結構こういう身の周りの植物や虫や鳥の営みを肌で感じながら生活をしていたんだろうなと。なんだかそういうのっていいなと思える体験でした。





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