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『さがす』池田直矢撮影監督 作品に向き合う人間のみ。少人数スタッフが持つ強さとは?【Director’s Interview Vol.182】

『さがす』池田直矢撮影監督 作品に向き合う人間のみ。少人数スタッフが持つ強さとは?【Director’s Interview Vol.182】

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“今やりたいこと”を実現させる



Q:『さがす』はとても“動き”のある映画で、カメラも縦横無尽に動きまわります。ドリー(台車)やクレーン、ステディカムなど、機材はどのように使い分けていたのでしょうか?


池田:僕のもう一人のお師匠さんの小林元さんがよく言っていたのですが、「監督っていうのは、寝て起きたら気が変わってることもあるだろ」と。つまり事前の打合せで決めたカメラワークだけではなく、「今この瞬間、監督はこうしたいのだろうな」と思ったことは、技術パートとして実現させるべきであると。


ただ、日本映画の撮影だと予算に限りがあり、万全の機材を揃えられることなんか正直ほとんどないわけです。監督が希望するカメラワークがあったとしても「それは予算的に借りられない…」「こういう機材が借りられたら実現できるけど…」といつも葛藤がありました。もちろん結局はお金の問題なので、「予算がないからクレーンがありません」「予算がないからステディカムは使えません」と、仕事として割り切った会話もあります。ただそれを続けていると、監督自身の発想もなくなって来るし、僕らカメラマンも、機材がなくて出来ないだけでなく技術としても出来なくなってしまう。それが一番危ういんです。



『さがす』©2022『さがす』製作委員会


Q:では今回はどのように対応されたのでしょうか?


池田:今回の機材はジンバルを使いました。過去には、ステディカムや手持ちも割とやってきていたので、今回は練習も含めてジンバルにトライしました。


以前、片山さんと一緒に『さまよう刃』(21)というWOWOWのドラマをやったのですが、そのときはずっとステディカムを使っていました。それで片山さんの頭の中にはステディカムのカメラワークが入っていて、今回もそれを望まれていたのですが、人数や機材の関係から今回ステディカムを使うことは難しい状況でした。ですが、ロケハンしたり役者と会ったりして準備をすすめる中で、ステディカムのカメラワークが出来ないことで、監督の発想とイメージを捨てているかもしれないと思うようになり、ステディカムより精度は落ちるかもしれないけれど、ジンバルなら同じようなカメラワークが出来ますと提案したんです。




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