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『さがす』池田直矢撮影監督 作品に向き合う人間のみ。少人数スタッフが持つ強さとは?【Director’s Interview Vol.182】

『さがす』池田直矢撮影監督 作品に向き合う人間のみ。少人数スタッフが持つ強さとは?【Director’s Interview Vol.182】

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自分の中から出てくるものを大切にしたい



Q:片山監督にお話を伺うと、スコセッシやフィンチャーの名前が出て来ます。『さがす』もそういう監督たちの作品のように、カッコいい“シビれるカット“に溢れていますが、池田さんが撮られる画もスコセッシやフィンチャーを意識されていたりするのでしょうか?


池田:僕はほぼないですね。助手の時は何も考えてなかったので、そういう時に映画を観ても何も入って来なかったですが、今は観た映画や映像が自分の中に入って来てしまうので、最近は意識的に映画を観ないようにしています。特に日本映画は観ていません。自分が撮った画に、他の人の撮った画が無意識に反映されてしまうのを避けたいんです。


すでにある映画を意識して撮るよりも、できるだけ自分の中から出て来たものや、監督が望んでいるであろうものを映像化する意識が強いですね。もちろんフィンチャーの映像などはカッコいいなと思いますが、それを研究するのではなく、自分の中から出てくるものを大切にしています。


Q:『さがす』では、清水尋也さん演じる山内の登場シーンと、森田望智さん演じるムクドリと山内の海のシーンがとても好きです。『岬の兄妹』もそうですが、海の撮り方がとても印象的でした。木村大作さんが撮った『駅 STATION』(81)や『夜叉』(85)の海のシーンでも同じように感じたのですが、画に心を奪われる感じがします。


池田:もしかしたら、大作さんからの影響が一番強いのかもしれません。僕はわりとセンターにものを置いて撮ることが多いんです。それはたぶん大作さんの影響なんですよね。そう言う意味では似ているのかもしれません。


『さがす』©2022『さがす』製作委員会


Q:最後の質問です。今後はどういった映画に携わっていきたいですか?


池田:非常に難しい質問ですね…。監督にはいろんな方がいますが、例えば白石和彌監督だったら、白石さんと池田だからこの作品ができた。片山さんと池田だから『さがす』が出来た。というように、それぞれの監督と対峙した時の“池田”というスタイルを持っていたいですね。


また、日本映画のカメラマンという立場から言うと、世界的な才能を持った監督がいたときに、海外の作品に負けない技術で作品作りに貢献したい。そういう準備をしておく必要があると思っています。それが撮影部の使命であり、必要な条件だなと。




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撮影:池田直矢

1980年生まれ、香川県出身。撮影助手として『クライマーズハイ』 (08/原田眞人監督)の小林元、映画界の巨匠・木村大作、デジタル撮影の権威である阪本善尚、撮影監督分野のパイオニアである高間賢治など、日本映画界を牽引してきた名カメラマン達に師事。主な撮影作品に『岬の兄妹』(18/片山慎三監督)、「さまよう刃」(21/WOWOW)、『パラダイス・ネクスト』(19/半野喜弘監督)、『ソワレ』(20/外山文治監督)、『きまじめ楽隊のぼんやり戦争』(21/池田暁監督)、『裏アカ』(21/加藤卓哉監督)、「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」(21/NHK)などがある。



取材・文:香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。


撮影:青木一成




『さがす』

テアトル新宿ほか全国公開中

配給:アスミック・エース

©2022『さがす』製作委員会

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