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『さがす』池田直矢撮影監督 作品に向き合う人間のみ。少人数スタッフが持つ強さとは?【Director’s Interview Vol.182】

『さがす』池田直矢撮影監督 作品に向き合う人間のみ。少人数スタッフが持つ強さとは?【Director’s Interview Vol.182】

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『さがす』を撮ったデジタル一眼と300円のレンズ



Q:カメラやレンズはどんなものを使ったのですか?


池田:『さがす』はLUMIXのS1Hというデジタル一眼カメラで撮っています。レンズは、僕が上京した時に数千円のレンズセットを買ったんですが、その中にあった300円くらいのスチールレンズを使ったりしました。


Q:『さがす』がデジタル一眼で撮られていたとは……、いや、驚きました。全くそうは見えないルックでした。しかも300円のレンズですか……。


池田:50ミリのレンズは確かそれくらいの値段でしたね(笑)。つまり、安いものではダメということではないんです。高い機材を使ったとしても、それが活きる現場でなければ何の意味もない。仮にALEXAでパナビジョンのシネレンズを使って、僕が『さがす』を撮りましたと言っても、「やっぱそうですか、いい画ですよね」と機材が評価されてしまう。そこは技術パートとしては考えるべきところですよね。


まあでも、この作品はS1Hがいちばん合っていると思ったんですよね。衣裳合わせで伊東蒼さんを撮った時に「あっ、このカメラがいいんだな」って感じたんです。



『さがす』©2022『さがす』製作委員会


Q:冒頭で「キャストに会って撮る画を決める」とおっしゃっていましたね。


池田:俳優と一言で言っても、能力も違えば感覚も違う。いろんなタイプの方がいます。僕は俳優の写真や出演作では一切判断しないんです。自分がその人に会って初めてカメラを向けたときの、「映像の中に生きる写りかた」を見て、撮る画の方向性を考えるようにしています。それで映像の質感なども変わってきますね。


それは監督にも言えることで、初めて一緒にやる監督の過去作はあえて見ません。「この監督はこういうものが好きだろう」とか「こういう画作りが好きだな」とか勝手に思い込んで、自分が提供できるものを狭めたくないんです。


Q:アングルの中に配置されるパーツとして俳優を見るのではなく、その人自身を見て撮るということなんですね。


池田:多分こっちの想像以上に、俳優はカメラマンやスタッフのことが見えていると思うんです。それゆえ、俳優に対してカメラを向けた時のこちらの気持ちや有様は、確実に俳優に伝わっている。俳優と対峙している感覚ですね。




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