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『余命10年』藤井道人監督 100年先も残る映像を撮るための「無茶」【Director’s Interview Vol.187】

『余命10年』藤井道人監督 100年先も残る映像を撮るための「無茶」【Director’s Interview Vol.187】

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ヤクザと家族 The Family』(21)、『アバランチ』(21)、Netflix『新聞記者』(22)――。驚異的なペースで力作を作り続け、日本で最も多忙な監督の一人へと上り詰めた藤井道人監督。彼の最新作であり、キャリア史上最大規模の館数での公開作となる映画『余命10年』が、3月4日より劇場公開を迎える。


数万人に一人の難病を抱えながらも日々を懸命に生きる茉莉(小松菜奈)と、彼女を支えようとする同級生・和人(坂口健太郎)、周囲の人々の歳月をエモーショナルに描いた本作。原作者の小坂流加さん自身が闘病生活の中で書き上げたベストセラー小説が、原作となっている。


初めてとなる「余命もの」への戸惑い、その先に見つけた覚悟と責任。幅広い層に届けるメジャー映画で、藤井監督の代名詞でもある「無茶」を貫くということ。ロングインタビューで、藤井監督のクリエイティブの深淵に迫る。


Index


“余命映画”への抵抗感を払拭した2つの出会い



Q:『余命10年』は座組や規模感など、がっつりメジャー大作かと思います。どのような経緯で企画に参加することになったのでしょう?


藤井:いまでも覚えているのが、映画『新聞記者』(19)のオールアップの日に電話がかかってきて、「ワーナー・ブラザースです。映画のオファーをしたい」と言われたこと。結構過酷な状況で撮っていた『新聞記者』が終わり、ついにメジャー映画が来たぞ!と意気揚々と打ち合わせに向かいました。そこで企画書を読んで『余命10年』というタイトルを知り、「余命ものか……」と驚きを隠せなかったのが最初です。


自分の中では「余命映画」という括りへの抵抗がすごくあって、最初は本作りにもいまいち気分が乗らなかったり、「こうすればヒットする」という方程式にもあまり共感できなかったのですが、変化があったのは原作者の小坂流加さんのご遺族にお会いしたとき。「自分が絶対にこの映画を完成させなきゃいけない」という責任感が芽生えました。



『余命10年』©2022映画「余命10年」製作委員会


また、プロデューサーが「原作小説をただ実写化するのではなく、小坂流加さんという原作者がいらっしゃったことも盛り込みたい。フィクションとノンフィクションの間にチャレンジしたいんです」と言ってくれたことが大きかったですね。すごくチャレンジングな企画だと感じて、音楽の野田洋次郎さん(RADWIMPS)にも僕から直接「音楽をやってほしいです」とお声がけしました(※藤井監督は、野田が主演した2017年のドラマ『100万円の女たち』で監督を務めている)。




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