フレーム内の全てが気になる
Q:芸達者な俳優陣が揃っていますが、キャスティングはどのように決められたのでしょうか?
大九:私が入った時点ですでに決まっていた方もいますし、その後決まった方もいます。配役のバランスもいいですよね。素敵なみなさんに引き受けていただけました。特に尾美としのりさんと六角精児さんは、個人的な思い入れがすごくあるのでちょっとビビりました(笑)。私が観ていた青春モノによく出ていた、あの「尾美としのり」だし、六角さんは、私の大好きな「タモリ倶楽部」や「呑み鉄」として活躍なさっていて、俳優としても舞台を拝見するなどファンだったんです。
Q:尾美さんと六角さんは毛色が全然違いますが、変に拮抗している感じが面白かったです。
大九:そうなんですよ。カメラが回っていない時の二人の会話が、ちょっとズレてて面白いんです。尾美さんが撮影現場まで電車で来た話なんかをし出すと、六角さんが黙っていられなくなる(笑)。運賃の話か何かをしているのですが、二人の認識が違っていて、そのことをお互い延々と喋っている。そのくだらなさも含めて本当に最高でした。こっそりカメラを回したかったくらいですね。
『ウェディング・ハイ』©2022「ウェディング・ハイ」製作委員会
Q:お二人以外にも豪華なキャストがたくさん出てきますが、全体的なバランスについて気をつけたところはありますか?
大九:私はフレームに映っている全てが気になっちゃうんです。人間だけに限らず、衣装も小道具もセットも何もかも。そういうものを等しく面白くしようという癖があるので、脚本ではそれほど登場する予定じゃなかった人も、結果的にすごく目立っているかもしれません。
新郎の叔父役の池田鉄洋さんは、最初は狂言回しとしてポイント的に出る程度だったのですが、とにかくキャラクターとして気になっちゃって…。別のシーンを撮っている時に彼が視界に入ってくると、「あの人は今どういう気持ちなんだろう」って、つい撮りたくなっちゃうんです。それで実際撮っちゃうので、どんどん増えていっちゃう(笑)。
披露宴スタッフを演じてくれた中川大輔君もすごく面白い方でした。自分が勝てるのは身長しかないからと言って、元々184cmくらいあるのにも関わらずシークレットブーツを履いてさらにデカくなってるんです(笑)。「あの人思ったよりもデカイな…」って、現場で目立つものだから、私の中でも彼の画の分量が増えていってしまう。編集のときに「この増えた分、必要ですか?」とプロデューサーに聞かれたのですが、「必要でしょう」ってそのまま入れちゃいました(笑)。