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『ウェディング・ハイ』大九明子監督 フレーム内に映る全てを面白くしたい【Director’s Interview Vol.192】

©2022「ウェディング・ハイ」製作委員会

『ウェディング・ハイ』大九明子監督 フレーム内に映る全てを面白くしたい【Director’s Interview Vol.192】

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“外す“披露宴ビデオとは



Q:個人的には、中尾明慶さん演じるTVディレクターの後輩、相馬慎治(相米慎二⁉︎)にハマってしまいました。弊社は映像制作会社なので、披露宴ビデオを依頼されるのはまさに「あるある」なのですが、テロップの入れ方に悩むところなど、とにかくデティールが細かくて面白かったです。

 

大九:名前は気になりますよね(笑)。これはバカリズムさんが付けられた役名です。でも、その人柄までは脚本には書かれていないので、私の方でかなり面白がってキャラを作っていきました。ロケハンの時に披露宴ビデオも見せていただいたのですが、どんなに最先端の手法で作られた映像でも、それは披露宴の正解になってしまうんです。つまり、“外し”にならない。それで色々と考えた挙句、私の周りにいっぱいいた映画青年たち、いわゆるシネフィルみたいなキャラクターにするのが一番良いのではと考えました。


それで、『惑星ソラリス』(72)をベースにした披露宴ビデオ(笑)を、後輩の監督仲間、淺雄望さんに作ってもらったんです。彼女は、『ただいま、ジャクリーン』(13)や『勝手にふるえてろ』の時に助監督でついてくれた人ですが、彼女が監督した『ミューズは溺れない』が「TAMA NEW WAVE」や「田辺・弁慶映画祭」で最近グランプリを獲ったんです! 自分の映画が忙しかったときにも関わらず、面白い披露宴ビデオを作ってくれてとても感謝しています。



『ウェディング・ハイ』©2022「ウェディング・ハイ」製作委員会


Q:では最後の質問です。影響を受けた映画監督や作品について教えてください。  


大九:相米慎二監督ですね。相馬じゃないよ(笑)。中学生の時、薬師丸ひろ子ちゃんが好きで『セーラー服と機関銃』(81)を友達と観に行ったのですが、「なんだこれは」と…。物語を推進するためだけではない何かがいっぱい詰まっていて、何だかすごいものを観せられたような気がしたんです。映画を作るには「監督」という人がいて、このすごい映画は相米慎二という監督が作ったんだと、そこで初めて知りましたね。



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監督:大九明子

横浜市出身。97年に映画美学校第1期生となり、『恋するマドリ』(07)で映画長編監督デビュー。17年『勝手にふるえてろ』で第30回東京国際映画祭コンペティション部門・観客賞、第27回日本映画プロフェッショナル大賞・作品賞を受賞。『私をくいとめて』(20)が第33回東京国際映画祭・TOKYOプレミア2020にて史上初2度目の観客賞、第30回日本映画批評家大賞・監督賞を受賞。監督を務めるドラマ「シジュウカラ」(TX)、配信ドラマ「失恋めし」(Amazonプライム・ビデオ)が放送中。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。




映画『ウェディング・ハイ』

2022年3月12日(土)ロードショー

企画・配給:松竹

©2022「ウェディング・ハイ」製作委員会

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