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『ガンパウダー・ミルクシェイク』ナヴォット・パプシャド監督 ぼくのヒーローは、バスター・キートンとジャッキー・チェン【Director’s Interview Vol.193】
バイオレンスとコメディを共存させる
Q:2丁拳銃や衣装、カメラワークなど、映画好きにはたまらないオマージュに溢れています。それらは脚本の段階から意識されているのでしょうか?
パプシャド:そういうポイントに気づいてもらえるのは嬉しいですね。今回は暗殺者の話ですが、そのジャンルを描こうと決めると自分の脳裏に過去の偉大な作品たちが無意識に浮かんでくるんです。フィルム・ノワールや日本の侍や浪人の映画、80年台のスピルバーグ映画やカートゥーン的な要素など、自分が影響を受けたものが無意識に入っていると思います。
先日久しぶりに本作を観直したのですが、「このカットはあの映画から来ているんじゃないか」と、作っている時には自分ですら気がつかなかったオマージュに色々気がついてしまいました(笑)。ここまで無意識に出ているわけですから、もう体に染み付いているんでしょうね。
『ガンパウダー・ミルクシェイク』© 2021 Studiocanal SAS All Rights Reserved.
Q:カーアクションや、主人公がハンデを背負ったアクションがとてもユニークで新鮮でした。このアイデアはどこから出てきたのでしょうか?
パプシャド:その2つのアクションシーンは完全にカートゥーンからの影響です。カートゥーンって実は結構暴力的なんですが、子供の時は理解せずに楽しんでますよね。本作には大きな置物をドーンと落とすシーンがあるのですが、あの辺はまさに「ワイリー・コヨーテとロードランナー」そのものですね。
アクションを作る時に気を付けているのは、バイオレンスとコメディを共存させること。これは僕のヒーローである、バスター・キートンとジャッキー・チェンから学んだことです。二人ともバイオレンスとコメディの両方の要素を持ってアクションシーンを作っている。僕もその要素を念頭に置きながら、それをどれくらいクレイジーに振り切れるか、いつもせめぎ合いながら撮影しています。
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監督・脚本:ナヴォット・パプシャド
1980年3月4日、イスラエル、ハイファ出身。アハロン・ケシャレスと 共同脚本/監督したホラー、『ザ・マッドネス 狂乱の森』(10/未) でデビュー。同作は、ポルトガル・ファンタスポルト映画祭で批評家 賞、韓国・富川ファンタスティック映画祭で特別賞を受賞した。再度 ケシャレスと共同脚本/監督したクライム・サスペンス『オオカミは 嘘をつく』(13)は、トライベッカ映画祭でプレミア上映された後、世 界各国で上映。米サターン賞では国際映画賞、スペインのシッチェ ス- カタロニア映画祭と前記ファンタスポルト映画祭では監督賞、 カナダ、モントリオールのファンタジア映画祭で作品賞と脚本賞を 受賞するなど、高く評価された。ホラー・オムニバス『ABC・オブ・デ ス 2』(14/未)に参加したのち手掛けた本作『ガンパウダー~』で、 ケシャレスは製作総指揮にまわり、パプシャド初の単独監督作と なった。次回作は、1946年の英国統治下のパレスチナを舞台に、マ カロニ・ウエスタン、戦争映画、ラブコメ、無声映画などの要素を取 り入れたサスペンス『Once upon a time in Palestine』を予定している。
取材・文: 香田史生
CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。
『ガンパウダー・ミルクシェイク』
3月18日(金) 全国ロードショー
配給:キノフィルムズ
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