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『流浪の月』李相日監督 日々求められる数多の判断、最終的に頼るものとは【Director’s Interview Vol.206】

『流浪の月』李相日監督 日々求められる数多の判断、最終的に頼るものとは【Director’s Interview Vol.206】

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自分以外から生まれる余地



Q:主演の広瀬さんと松坂さんをはじめとして、横浜さん、多部さん、白鳥さんと、みなさんが演じる役柄はそれぞれ相当難しかったかと思いますが、その難しい演技にOKを出す監督の判断も同じかと思います。その判断基準はどこから来るのでしょうか。


李:腹に落ちるかどうか、(自分の中に)来るか来ないか。そういった感覚的なことはありますが…。当事者に近い目線で自分がその場に居たとして、何か届いてくるものがあるかどうか。それを捉えるためにも、なるべく演者の近く、カメラの側にいるようにしています。


セリフがきちんと言えて予定していた動きが出来たからOKというのではなく、自分が想像しなかったものも含めて、そこに真実味があるかどうか、それを自分が感じ取れるかどうか、ですかね。うーん、他の監督さんはどうやってOK出してるんでしょうね(笑)。


Q:現場ではモニターを見るのではなくカメラの横で演技を見ているのですね。


李:そうですね。自分用に小さいモニターを用意してもらって、それで画角を確認しつつ、実際の本番はなるべく俳優の近くで見ています。



『流浪の月』(c)2022「流浪の月」製作委員会


Q:自分が想像していたものと、想像を超えてくるもの、その辺の取捨選択も難しそうですね。


李:想像を超えるって、そう簡単なことではないんです。超えるというよりも何か発見があればいいなと。意外性でもいいんです。自分が想像していたものが仮に6~7割ぐらいだとしたら、残り何割かは自分が気づかなかったことや新たな発見の余地が必ず出てくる。人が演じて作るものなので、俳優やスタッフによって生まれてくるものが必ずある。その余地はなるべく残しておきたいなと思っています。


全てが自分の想像通りだったときは、一応OKは出せるけど、あくまでも普通の「丸」なんです。何か予期せぬことや意外性が生まれた時に、それが二重丸や三重丸になっていく。俳優やスタッフの個性からどういう反応が生まれるか、そこを残しておきたいというのはあるんでしょうね。もっとあけすけに言うと、いくらでも人から搾り取りたいと思ってるんじゃないですかね(笑)。


Q:ちなみに編集で繋ぐカットは、現場でOKを出したカットですか? それとも編集で変わりますか?


李:基本は現場でOKを出したものですが、違和感がある場合はどんどん変えていきます。編集では全てのテイクに目を通していますが、最終的には現場でのOKテイクが使われる割合が高いと思います。それでもやっぱり変わることもありますね。




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