ヒットの法則は存在しない
Q:もはや伝説とも言える前作『トップガン』ですが、その続編製作はブラッカイマーさんと言えどもプレッシャーもあったと思います。しかし実際に出来上がった作品は、誰もが驚くほどの最高の出来栄えとなりました。この勝因はどこにあると思いますか?
ブラッカイマー:勝因は観た人に聞いてください(笑)。前作から36年経ってはいますが、トムはもちろんマーヴェリックというキャラクターは健在で、ビジュアルスタイルも受け継いでおり、皆さんが懐かしむような形で作ることができました。そこに新しいキャラクターやストーリーを追加し、何よりトムが素晴らしい映画に仕上げてくれましたね。
Q:ブラッカイマーさんさんは、トム・クルーズ、トニー・スコットをはじめ数々のクリエイターと仕事をされてきて、彼らのポテンシャルを最大限まで発揮させている印象があります。マイケル・ベイなどもブラッカイマーさんのもとで才能を開花させたといっても良いかもしれません。映画製作において監督たちとはいつもどのような関わり方をされているのでしょうか。
ブラッカイマー:プロデューサーと監督の関係性はとても重要です。「この監督を起用しよう」と決めてからは、その監督に全幅の信頼を寄せ、監督の語るストーリーや言葉、そして映画を作る意志に対して、全面的に協力するのがプロデューサーの仕事であり、必要なものは全て与えるように心がけていますね。
『トップガン マーヴェリック』左:ジョセフ・コシンスキー監督 右:ジェリー・ブラッカイマー © 2022 Paramount Pictures Corporation. All rights reserved.
Q:監督と意見の相違が出たときは、どのように対処されていますか。
ブラッカイマー:もちろん意見の相違が出ることはありますが、そこですぐに否定はしません。自分の意見も伝えた上で、二人で一番良い方法を探し出して解決する。それが大事だと思っています。
Q:プロデューサーとして色々な作品を作られていますが、監督をやってみたいと思われないのでしょうか?
ブラッカイマー:監督はものすごく沢山のことに対応して処理しなければならないのですが、私はそこまでの忍耐力がないんです(笑)。
Q:ブラッカイマーさんが手がける作品はビッグバジェットの超大作が多く、ヒットへのプレッシャーもすごいと思います。ご自身が心掛けている「ヒットの法則」のようなものはあるのでしょうか?
ブラッカイマー:こればかりは法則は無いんです。才能豊かなスタッフに集まってもらい、最高の俳優に演じてもらい、最高のストーリーを語る。そして後は祈るばかりです。観客の皆さんの方が賢いですからね。我々は常にベストを尽くすのみです。