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新生BABEL LABELに集うプロデューサーたち、世界標準の企画開発へ【Director’s Interview Vol.215】

新生BABEL LABELに集うプロデューサーたち、世界標準の企画開発へ【Director’s Interview Vol.215】

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日本独自の文化・価値観を掘り下げていく映画づくり



Q:前田さんはウォン・カーウァイほか海外の監督とも組んでこられましたが、対・世界においてどのようにご覧になっていますか?


前田:現状だと、ドラマは海外向けに作ることが可能だと思います。そういったプラットフォームもありますし。となると映画をどこまで海外に向けて作ることができるか。今やメインストリームとなった配信サービスにしても、外資の大手は潤沢な資金の元、恵まれた環境で日本産ドラマを発信しているけれど、そうやって生まれたものが世界レベルに達しているかといえば必ずしもそうではない。それはもう韓国に完全にやられていますよね。例えば韓国の作品はアメリカのランキングでも必ずと言っていいほどトップ10に2~3本は入っている。


そういったなかで、誰にでもわかるようなユニバーサルなテーマで作品を作るのか、それぞれの文化を持ち込んで「これって何?!面白い」と思えるようなものにしていくのか。たとえば『おくりびと』は日本の文化を美しく描いて、アカデミー賞の外国語映画賞を獲得することができた。そういったように、広げるよりも独自性を掘り下げて映画で表現した方がいいような気はします。海外配信が当たり前になってきているドラマは逆に、明確なテーマで振り切ったほうがいい。


最近メ~テレと制作会社ダブが「(not) HEROINE movies」*という企画をやっていて(*両者が「等身大の女性のリアルをつむぐ映画」を掲げるシリーズ。『わたし達はおとな』『よだかの片想い』が公開予定)、「先を越された!」と焦ったのですが、ああいったことをもう少し宣伝にお金をかけられるといいなと思います。お金をかければいいものでもないけれど、独自性が高くても、いつ公開されていつ終わったかの?っていう作品って結構あるじゃないですか。それはやっぱりもったいないです。


このジレンマは映画製作にもあって、藤井作品だと出資も募れるし集まってくるけど、これからの監督たちは最初からそういうわけにはいかない。じゃあそこをどうやって作っていくかというと、それはもう手間暇かけて、試行錯誤しかないわけです。藤井さんを見てきた子たちは「オリジナルでやりたい」って言うんだけど、そこも非常に高い壁なので、小説や漫画との連携も必要だなと思います。多様性がある中でうまく取り込んで何か響くものが見つけられれば。願わくば、大手がなしえなかった海外でも話題になるような配信ドラマや映画が1本できればそこに続いていける。今の目標はまずそこですね。





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