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『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』コリン・トレボロウ監督 原点に戻ったテーマを自ら描きたかった【Director’s Interview Vol.225】

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『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』コリン・トレボロウ監督 原点に戻ったテーマを自ら描きたかった【Director’s Interview Vol.225】

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アニマトロニクスだからこその恐怖感



Q:恐竜たちが人間社会に放たれるという設定は、過去にも『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』(97)でサンディエゴの街でT-レックスが大暴れするなど、大パニックのシーンがありました。しかし今回、そうした描写はあえて避けられていますね。


トレボロウ:個人的に、モンスターパニック的な展開は現実的ではないと感じたのです。もちろん私は「ゴジラ」を愛していて、似たような演出もやりたかったのですが、それとこれは別です(笑)。マイケル・クライトンやスティーヴン・スピルバーグの意図をくみ、恐竜たちは動物の生態系のひとつととらえました。街で暴れ回るモンスターではないんですよ。あくまでも恐竜たちは自然の中に留まり、めったに人間とは関わらないのが大前提。「プールの奥深くに飛び込むのではなく、爪先を水に少し浸す」感覚で、演出しました。


Q:自然の中に留まるという意味で、多数の恐竜たちが暮らすのが、恐竜のDNA研究も進めるバイオシン社で、イタリアの南アルプスに位置するという設定です。


トレボロウ:私たちが求めたのは、微気候(地表近辺で気候が変化する)の深い谷を擁した山岳地帯でした。恐竜たちは種によって、異なる環境に適応するわけですが、微気候なら多くの種が生育できます。しかも谷になって逃れられない。そうした条件に当てはまるのが、イタリア北部だったのです。私たちは恐竜たちが平和に暮らす空間を作り出しました。



『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』(c) 2021 Universal Studios and Storyteller Distribution LCC. All Rights Reserved.


Q:一方で、地中海のマルタ島で、闇取引されていたアトロキラプトルたちが主人公オーウェン(クリス・プラット)らを襲うなど、全編にスペクタクルが用意されています。世界遺産のマルタ島のシーンは、過去のシリーズとは明らかに異なる印象を受けます。


トレボロウ:マルタ島は、これまでも『トロイ』(04)や『ワールド・ウォーZ』(13)のロケ地として使われましたが、それらは古代ギリシャやエルサレムの“再現”でした。舞台自体もマルタ島にしたのは、大作映画で今回が初めてではないでしょうか。マルタ島の人たちも喜んでいるはずです。広場に恐竜の像とか建造してくれないかな(笑)。マルタ島は巨大な撮影用プールなどもあったりと、映画の撮影では長い歴史をもった場所なのです。


Q:「ジュラシック」シリーズの魅力といえば、CGとアニマトロニクスの併用で、映画ファンにとっては、どこでアニマトロニクスが使われたか気になります。


トレボロウ:秘密の農場や闇取引のシーンに登場する恐竜たちの多くには、実寸大のアニマトロニクスのモデルを製作し、細心の注意を払ってデジタルの映像と合成しています。私が最もアニマトロニクスにこだわったのは、ギガノトサウルス(今回初登場となる最強の恐竜)の頭部で、襲われそうになる人々の目の前に出てくるシーンでは、ものすごく効果を発揮したと思います。永遠にトラウマになりそうな恐怖を作り出すことができました。


Q:その人々の前に恐竜の顔が迫り、威嚇するというのは「ジュラシック」シリーズの定番で、『エイリアン』(79)など数多くの映画ともリンクします。


トレボロウ:たしかに今回も2回ほどありますね(笑)。その後、恐竜が人の頭をガブリと食べないために、説得力ある展開も考えています。これらのシーンは、人間にとって恐竜が“本物”だと納得させる効果があるんです。今回の2つのシーンもともにアニマトロニクスを使ったので、ぜひその効果を感じてほしいです。





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