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『LAMB/ラム』ヴァルディミール・ヨハンソン監督 映画で最も重要視しているのは“音”【Director’s Interview Vol.239】

©2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON

『LAMB/ラム』ヴァルディミール・ヨハンソン監督 映画で最も重要視しているのは“音”【Director’s Interview Vol.239】

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皆がこの作品を信じてくれた



Q:撮影に時間がかかっているという意味では贅沢な作品なのかもしれませんが、実際の撮影は35人というミニマムな現場で、出演者もごく少数、シチュエーションも山の中だけという、予算を抑えた製作体制が想像されます。ですが、広大な自然や、自然光、霧や雨などの天候、動物たちなど、スクリーンには豊かで贅沢な画が浮かび上がります。低予算でも豊かに見せるというその手法は、企画・脚本段階から意識されていたのでしょうか。


ヨハンソン:ありがとうございます。それはまさに狙ったところですね。お金がかかっている部分はちゃんとスクリーンで感じられるようにしたい、最初からプロデューサーたちとそうやって話していました。実は今回のスタッフは全員知り合いなんです。自分たちの家族や馴染みのスタッフだけでやっていて、それぞれが違う部署も手伝いながら皆でできることは全てやりました。


このプロジェクトの成功は、皆がこの作品を信じてくれたおかげなんです。常に自分の後ろには自分を救ってくれる仲間がいた。そのことには大きな安心感がありました。ストーリーがリスキーな企画だったので、一歩間違えば失敗作になっていた可能性もある。それでも僕たちはこの作品をやりたかった。そのためには皆が持てる全てを出しきる必要があったのです。


Q:具体的には何がリスキーだと感じていましたか。


ヨハンソン:やはりアダですね。アダが成立しなければコメディになっていたかもしれない(笑)。



『LAMB/ラム』©2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON


Q:ヨハンソン監督が、ハリウッド大作の美術や特殊効果を担当しつつ、タル・ベーラ監督の映画講義を受講されている点も興味深いです(タル・ベーラは本作の製作総指揮)。ハリウッド大作とタル・ベーラの映画は一見相反するスタイルのように思えますが、それぞれからどのようなことを学びましたか?


ヨハンソン:アイスランドにはハリウッド大作の撮影隊がよくやってくるんです。そういう作品に関わる機会を得ることで、映画の製作工程や撮影で実現可能なものは何かなど、色々と学ぶことができました。


また、タル・ベーラとは多くの時間を一緒に過ごしました。彼がいつも口にしていたことは、「自分自身に100%正直であること」「自分の心に誠実に作ること」「自分が信じるものを作ること」でした。彼のアドバイスを聞くだけでもとても勉強になりましたし、心から感謝しています。




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