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『LAMB/ラム』ヴァルディミール・ヨハンソン監督 映画で最も重要視しているのは“音”【Director’s Interview Vol.239】

©2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON

『LAMB/ラム』ヴァルディミール・ヨハンソン監督 映画で最も重要視しているのは“音”【Director’s Interview Vol.239】

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不穏。映画全体から漂ってくるもの全てが不穏。そんな映画『LAMB/ラム』を作ったアイスランド出身のヴァルディミール・ヨハンソン監督は、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』などハリウッド大作の美術や特殊効果を担当しつつ、タル・ベーラ監督に師事していたという異色の経歴の持ち主。しかしその経歴がうまく融合したからこそ、この作品を作ることが出来たようにも思える。不穏な世界観を醸成することが出来るのは卓越した演出力あってこそ。A24が北米配給権を買って出たのも納得の完成度だ。そんなヨハンソン監督に本作の制作について話を伺った。


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最も重要視しているのは“音”



Q:セリフを極力排し画と音で物語を牽引していく手法が印象的です。この手法のどこに魅力を感じていますか。


ヨハンソン:初期段階からセリフは極力排除しようと決めていました。映画を観ているといつも思うんです、セリフがない方がより面白くなるのでは?と。人はビジュアルから色々なものを読み取ることができる。それはイメージというものが誰もが理解できる言語だからです。


また、ストーリーを語る上で一番重要なのは“音”。音楽を含めて音というものは色んなことを伝えることができる。今回は素晴らしいサウンドデザイナーに参加してもらったこともあり、制作過程で一番好きだったのが音響の作業でした。音響というものは自然から聞こえてくるものもあれば、人工的なところから聞こえてくるものもあり、それらがお互いに語りあっているように融合しなければならない。音を大事にしている作品が観客としても好きなので、映画で最も重要視しているのは音かもしれません。まさにそこを感じとってくれてすごく嬉しいです。



『LAMB/ラム』©2021 GO TO SHEEP, BLACK SPARK FILM &TV, MADANTS, FILM I VAST, CHIMNEY, RABBIT HOLE ALICJA GRAWON-JAKSIK, HELGI JÓHANNSSON


Q:置いてあるラジオや壁にかかる絵画、羊や犬、猫の描写など、それらは単なるインサートカットにとどまらず物語を牽引する力を感じさせます。そういった描写は脚本の段階から書き込まれているのでしょうか。


ヨハンソン:脚本、絵コンテと共に書き込んでいました。今回は農家の周りだけで起こる出来事のため、その世界自体はとても小さい。それをより大きく見せるためには、ほかの視点、つまり動物たちの視点を入れていくことが有効だと思ったんです。動物は何かを感じ取る能力が人間よりも長けていると思うので、脅威が近づいてくることを先に感じているのではないか。そういった表現を用いることにより、神秘性も演出できると思いました。




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