照明技師・長田達也の存在感
Q:世界観の踏襲という点では、稽古場に差し込む柔らかい光も、映画とドラマで同じように感じました。
片島:今回の照明技師の長田達也さんは、映画と同じスタッフの方です。
周防:長田さんは『シコふんじゃった。』のときに、オーディションにも全て付き合ってくれて、「土俵だまりに春がくりゃ〜♪」の替え歌も一緒に作ってくれたんです(笑)。また、正子が男の格好をして土俵に上がったとき、最初の想定では勝つことにしていたのですが、長田さんが「正子は負けちゃダメですか?」とポツリと言われた。それで、正子が負けることによって皆が奮い立つという話の流れに変わったんです。そういう意味では長田さんはすごく特別な人。僕のデビュー作から最新作まで、撮影監督は変わっても照明技師は変わらずで、長田さんとずっと一緒にやってきたんです。
だから今回も長田さんにやってもらえたことは、僕の半分が現場にいたようなもの。30年前の経験は生きてくるだろうし、長田さんの存在は大きかったと思いますね。
片島:すごい!その話は知りませんでした。
『シコふんじゃった!』© 2022 Disney
周防:長田さんは雰囲気も作れるんです。光だけじゃなくて撮影現場の雰囲気も作っている人。皆の精神的な支えにもなってくれる。
片島:今回は撮影しながら次の脚本を作っていったので、最終話のラストシーンが一体どうなるのか、撮影中は全くわからなかった。実はその辺も長田さんに少し相談させてもらい、アイデアをもらったりしていました。
Q:映画の方は103分という尺で完璧に収まっていますが、今回は連続ドラマです。エピソードを持続させる難しさみたいなものはあったのでしょうか。
片島:10話あるので、それぞれのキャラクターの相撲が上達していく様子を丁寧に描きました。なるべくセリフではなく相撲で成長感をみせたかったので、最後まで見るとそれを感じていただけると思います。そこは連続ドラマという長いスパンをうまく活かせました。