名作『シコふんじゃった。』が配信ドラマとなって帰ってきた!今回のドラマはリメイクではなく、映画の30年後が続編として描かれる。久しぶりに、映画『シコふんじゃった。』を見直してみると、その完成度の高さに唸らされた。魅力的なキャラクターたちとその成長譚、相撲というアクション、緊張と緩和から生まれるコメディ、そしてラスト前の予想外の驚き、それらが103分の尺の中に完璧に収められている。まさに映画の教科書だ。
その傑作の続編となる今回のドラマは、いかにして作られたのか?映画『シコふんじゃった。』の監督でドラマの総監督を務めた周防正行氏と、ドラマの監督を務めた片島章三氏に話を伺った。
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条件は女の子が相撲で活躍すること
Q:30年前の映画をドラマ化するという、そのきっかけは何だったのでしょう。
周防:弊社・アルタミラピクチャーズの桝井プロデューサーがディズニーの方と打合せした際に、ディズニーが本来持っている雰囲気やエンターテインメント性に、『シコふんじゃった。』は合っているのではないかという話になった。実はこれまでも『シコふんじゃった。』は、小さな劇団での舞台化に許可を出したり、香港でミュージカル化するという面白い試みもあったんです。ただ、映画やドラマのリメイクに関しては、話が来てもあまり乗り気ではありませんでした。
それで30年が経ち、こうやって配信で連続モノの話が来た。僕としては単なるリメイクだったら気が進まなかったのですが、もしあの映画の30年後が描けるのであれば、それは面白いのではないか。『シコふんじゃった。』の30年後が見たかったんです。それがスタートですね。
『シコふんじゃった!』© 2022 Disney
Q:企画・脚本は具体的にどのように進められたのでしょうか。
周防:最初はコンペのようにしていろんな案を募りました。片島さんの書いた脚本では、映画に出ていたキャラクターの30年後がたくさん書かれていた。結構過激な内容で、僕は好きだったんですけどね(笑)。
僕の中で確実にあったのは、女の子が相撲で活躍している30年後。それが見たかった。だからその方向での企画・脚本を、片島さんと脚本家の鹿目けい子さんにお願いしました。鹿目さんは、女の子が相撲をする「すもうガールズ」という小説を書かれている。そこは安心でしたね。
Q:30年前の映画では、女性はそもそも土俵に上がれませんでした。
周防:映画の取材をしていた当時、わんぱく相撲で県の代表になった女の子が全国大会に出られなかったことがありました。その年の大会は国技館での開催だったため、土俵に女の子は上がれないというんです。それを聞いて、僕の映画では絶対に女の子に相撲を取らせようと思った。それも、女の子を男にしないと土俵には上がれないという状況を作って。
片島:今は世界中で女子の相撲選手が活躍していて、女子相撲の世界大会まである。日本には今日和(こんひより)さんという有名な選手もいて、彼女は英国BBCが選出する「今年の女性100人」にも選ばれた。30年経って一番違うのは、こうやって女子が普通に相撲をとっていること。やっぱり今描くとしたらそれをメインにするのもいいかなと思いました。