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『すずめの戸締まり』新海誠が描く災禍との対峙、心の復興

(C)2022「すずめの戸締まり」製作委員会

『すずめの戸締まり』新海誠が描く災禍との対峙、心の復興

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『すずめの戸締まり』あらすじ

九州の静かな町で暮らす17歳の少女・鈴芽(すずめ)は、「扉を探してるんだ」という旅の青年・草太に出会う。彼の後を追って迷い込んだ山中の廃墟で見つけたのは、ぽつんとたたずむ古ぼけた扉。扉の向こう側からは災いが訪れてしまうため、草太は扉を閉めて鍵をかける“閉じ師”として旅を続けているという。すると、二人の前に突如、謎の猫・ダイジンが現れる。次の瞬間、草太は、すずめが幼い頃に使っていた椅子に姿を変えられてしまう。逃げるダイジンを捕まえようと、椅子の姿で走り出した草太を、すずめは慌てて追いかける。やがて、日本各地で次々に扉が開き始める。不思議な扉と小さな猫に導かれ、九州、四国、関西、そして東京と、日本列島を巻き込んでいくすずめの”戸締まりの旅”が始まる…。


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『天気の子』公開直後、2019年夏に構想



 『言の葉の庭』(13)以降、3年周期で新作を発表してきた新海誠監督。日本歴代5位(2022年11月現在)となる興行収入250億円を記録した『君の名は。』(16)、141億円(14位)の『天気の子』(19)に続く長編映画『すずめの戸締まり』が、11月11日に劇場公開を迎える。


 マスコミや劇場関係者向けに本作の試写会が初めて行われたのは、2022年10月24日。上映前に登壇した新海監督が語ったところによると、完成したのはその3日前くらいであり、関係者向けの初号試写がメディア試写と同日に行われたとのこと。これはなかなかに珍しいパターンで、通常はスタッフ・キャストや関係者向けの初号試写→ごく一部の人々を招待して行う内覧試写→メディア試写/一般試写の順番で行われることが多い。


 なぜこうした段階を踏むのかというと、ひとつは劇場公開に向けてプロモーションを展開するためだ。映画では、メディア試写で来場したマスコミに文字資料「プレス」を配る習慣があり(劇場パンフレットの下敷きにもなる)、その制作のためにも先んじて「内覧」が必要になる。よっぽど時間がないときは台本や断片的な映像で作ることもあるが、基本的には本編を観賞(音楽やCGが未完成の場合はあれど)してから動き出す。


『すずめの戸締まり』予告


 そしてまたキャスト・スタッフの取材稼働や各種タイアップ展開がメディア試写と並行して行われ、公開に向けて記事や映像が世に出ていく。…というスケジュールで考えると、初号とメディア試写が同日、しかも劇場公開の2週間前に実施されるというのはかなり異例。当日、この話を聞いた際にはスケジュール感にひやっとすると同時に、本当にギリギリまでクオリティを研磨していたのだなと感じ、作品への期待が高まった次第。


 というのも、プレスによれば本作の構想が生まれたのは『天気の子』の公開後、2019年の夏とのこと。そこからモチーフやストーリーが整理されていき、2020年の4月に企画書が完成(この時点での仮タイトルはもう『すずめの戸締まり』だった)。3年というルーティンのなか、コロナ禍という不測の事態に見舞われながらもフルに時間を使って出来上がったのが、『すずめの戸締まり』なのだ。





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