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『泣きたい私は猫をかぶる』童心で描かれた、真の「等身大」アニメーション

『泣きたい私は猫をかぶる』童心で描かれた、真の「等身大」アニメーション


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コロナ禍によって、Netflix配信に変更



猫をかぶれば、愛される。笑顔でいれば、やり過ごせる。

だけど本当は、ずっとずっと素顔の自分でいたかった。

「素直」が怖い男女を導く、善意のおとぎ話。


 『泣きたい私は猫をかぶる』(20)は、数奇な運命をたどった作品だ。元々は、劇場公開するはずだったアニメーション映画。しかし、新型コロナウイルスの影響で各地の映画館が休業せざるを得なくなり、公開延期ではなくNetflixで配信という形をとった。


 この流れは、今後の映画界で隆盛になっていくであろう、「劇場ではなく配信」の先駆けともいえる。スタッフ・キャストの錚々たる布陣だけでなく、当時の迅速な対応でも、注目を集めた作品だ。



 本作の企画を担当したのは、『夜は短し歩けよ乙女』(17)や『夜明け告げるルーのうた』(17)、『ゴールデンカムイ』(18~)などで知られる新進気鋭のプロダクション、ツインエンジン。フジテレビの人気アニメ枠「ノイタミナ」の初代編集長であり、『東のエデン』「PSYCHO-PASS サイコパス」などを手掛けた山本幸治が、2014年に起業した。


 制作は、『ペンギン・ハイウェイ』(18)で、カラフルかつファンタジックな世界観を作り上げたスタジオコロリド。「美少女戦士セーラームーン」シリーズのシリーズディレクターなどを手掛けた重鎮・佐藤順一と、本作が長編監督デビューとなる柴山智隆のダブル監督制が敷かれ、脚本を『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(11~13)や『空の青さを知る人よ』(19)の岡田麿里が手掛けた。


 女優・志田未来と「鬼滅の刃」の主演声優を務めた花江夏樹がダブル主演しており、主題歌・挿入歌は若者に絶大な人気を誇る音楽ユニット「ヨルシカ」が担当。盤石のメンバーといえるだろう。


 同級生の日之出が大好きでしょうがない中学2年生・ムゲ。彼女はある日、猫の姿をした“お面屋”から「かぶると猫に変身できる」お面を譲り受け、猫の姿になって日之出の元に遊びに行く。普段はムゲに冷たい態度をとる日之出だったが、猫の姿になった彼女を「太郎」と呼び、溺愛。態度の違いにちょっと複雑な思いを抱えながらも、猫の姿を満喫し始めたムゲだったが、少しずつ猫と人間の境があいまいになっていく……。




 本作はある種、『シンデレラ』的な「仮の姿で王子様を射止める」物語だが、変化の代償を払わされる日本古来の怪談噺のエッセンスも内包。猫が怪異の象徴である演出、猫の世界と人間の世界が“橋”でつながっている演出など、「黄泉の国」や、彼岸と此岸が地続きになっている能の世界を彷彿とさせる。日本人にとっては、どこか懐かしく親しみやすい設計になっているといえよう。「お面をかぶってでんぐり返し」が猫/人間の変換のスイッチになっているアクションも、実に日本的だ。


 そこに、ラブストーリーの要素が絡んでくるのだが、人間と猫では言語が違うため、意思疎通がままならない。好きな人に、自分の姿のままでは「好き」と言ってもらえない切なさともどかしさが本作のドラマ面の核だが、本作には2つ、印象的な特徴がみられる。



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