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『泣きたい私は猫をかぶる』童心で描かれた、真の「等身大」アニメーション

『泣きたい私は猫をかぶる』童心で描かれた、真の「等身大」アニメーション

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多感な中学生にちゃんと届く、彼らのための物語



 例えば新海誠監督の作品であれば、ナイーブな心情描写の中には、大人の目から見た子どもたちの若々しさや無鉄砲さに対する憧憬の念が、少なからずあるだろう。細田守監督のオリジナル作品では、家族や愛の形に対する作り手のある種の“思想”が透けて見える。しかしこの『泣きたい私は猫をかぶる』は、実にクリーンだ。「等身大」という言葉が、実にしっくりくる。


 この「等身大」は、作り手の、ではない。中学生たちの感覚や目線が、大人の感覚を挟むことなく、明快に描き出されているのだ。だからこそ、世界は優しく美しい。大人になった我々の感覚でいえば、そうではないのかもしれない。だが、これでいいのだ。悪意を知らないということ。それはある種、実に幸福で、我々がもう戻れない「かつてのリアル」だ。




 スタジオコロリドの『台風のノルダ』(15)、『ペンギン・ハイウェイ』にも共通するが、少年少女に世界はどう見えるか、が本作でも美しい風景描写とともに紡がれており、スタジオの清々しいカラーを、十分に感じ取ることができる。逆に言えば、スタジオコロリドだからこそ、シームレスに中学生の「心」を紡ぎきれたのだろう。


 アニメはいつから、大人のものになってしまったのだろうか? 多感な中学生にちゃんと届く、彼らのための物語があっていい――。『泣きたい私は猫をかぶる』からは、そんな意志が伝わってくるかのようだ。この和やかさは、決して偶然の産物ではない。



文: SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライター/編集者に。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」「シネマカフェ」「BRUTUS」「DVD&動画配信でーた」等に寄稿。Twitter「syocinema



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Netflixアニメ映画『泣きたい私は猫をかぶる』

2020年6月18日(木)Netflixにて全世界独占配信

制作:泣きたい私は猫をかぶる」製作委員会

(c) 2020 「泣きたい私は猫をかぶる」製作委員会

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